星占いの桜子とバーナム効果
ガラッ!!
いつものように桜子が元気よく保健室に飛び込んでくる。
「聞いて聞いて誠ちゃん!今月ね~星占いでアタシ絶好調なの~」
ティーン向け雑誌を持ち込みながらうりゃうりゃと指をさす。
「持ち物検査の話は以前もしたとおもいますがね。マンガの次は雑誌ですか。
それにそんなものアテになる訳ないでしょう?バーナム効果の一つです」
呆れ顔で誠史郎が突き放す。
「ばーなむ?」
「かいつまんでいうと自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう事です。
書かれている事に『あーそうかも~いえてる~』とか思ったりしているんでしょう?
大体、君と同じ星座の子が校内に何人いる?みんな恋愛、絶好調なのかい?
1/12の確立なんてあいまいもいいところですよ」
「誠ちゃんのバカッ!!乙女心を傷つけてもう知らない!!」
プリプリと怒って桜子が保健室を出て行く。
クスリと北斗が笑いながら
「桜井先生もそんなに突き放さなくても。彼女くらいの年齢にはとても重要な事だと思うんですよ?」
「工藤はねー。調子に乗りやすいですからね。保健室では甘やかしませんよ」
そう思いつつ、校内ではたくさんの女子が
星座や血液型で会話に華をさかせているのだろうな。
と、コーヒーを片手に誠史郎はやれやれと肩を落とす。