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7.願いは赤く白いばら


「自分の望みのために相手を手にかけることすら厭わないのは大したもんだ」

 甘い匂いが立ち込める。

 バニラだろうか。充満する煙を吸い込んだら咳が出た。

「これまでに何人殺してきたんだい、殺人鬼のお嬢ちゃん? アンタにとって、俺は一体何人目の名誉になるのかねェ? まさか初体験なんてこたァないんだろ?」

 うるさいなぁと素直に思いながらも、咳が止まらないので口答えができない。

 何度か咳き込んでいると、腕が伸びてきて背中を擦られた。

 スーツの袖から伸びる腕は、ぬめりを帯びた緑色だ。

 気持ちが悪いと感じたのを悟られたのか、ゆるく背中を撫でた手はすぐに離れていった。

 やわらかな床が動きにくくて仕方ない。少し身動ぎするだけで、膝が沈んでしまう。両手を床についてそろそろと這うように動けば、目の前の男が下卑た笑い声を立ててくる。

「はしたないねェ。そんな格好して、誘ってるつもりかよ?」

 男の云う言葉自体の意味は、よくわからない。

 おそらく、私のような少女でないものが聞けば憤るか恥ずかしがるかのどちらかなんだろうが、これでいて蝶よ花よと純粋培養で育てられてきた身だ。多分、知らない方がいいんだろう。

 はしたないと云われるのは癪だが、他にやりようもないので仕方ない。

 ただ、いい加減にどうしようもなくなってきたので。

「やかましいわね。集中できないからおとなしくしてなさいよ、この芋虫」


 ――蝶々にもなれないくせに。


 苛立ち紛れにそう喚けば、派手な色をした色眼鏡の向こうで目を丸くする。まさか云い返されるとは思っていなかったのだろう。

 煙を吐き出す口が笑みの形につり上がり、歯が金属を噛み鳴らす音を立てた。

 金属製のキセルの先端が、白い歯に噛み締められる。

「俺が蝶に羽化できねえのはテメエのせいだろうがよ、お嬢ちゃん。アンタが俺を殺しにくるからだ、違うかよ?」

 そんな台詞を吐き出しながら、男は笑う。

 ――違うと思う。

 少なくともそれは、私のせいではないはずだ。

 芋虫が蝶になれない理由は、物語の中で変化を遂げないからに過ぎない。

 だからさすがに、そこまでを責任転嫁されては困るのだ。

 第一、 今更そんなことを云われても。

「……そんなに厭なら、やめておきましょうか?」

 ものの試しに云ってみれば、男は更に目を見開く。

「馬鹿なこと云ってんなよ。ふざけんな」

 吐き捨てるような声と口調で、私を睨んでくる始末。

 それなら最初からそんな台詞を吐くんじゃない。おとなしくしていればいい。

「そう。ならやっぱり、殺すわね」

「おうよ、そうしてくれや」

 淡々と作業を再開すると、男は満足気に目を細めた。

 笑ったのだと、思う。倦み疲れたような表情からは、きちんと察することは出来なかった。

 身を乗り出して、男の体から伸びた管をたぐり寄せる。やわらかく不快な床に舌打ちしたくなるのをこらえながら、ゆっくりと引きずって輪を作る。幾重かに連なった輪の中心には男がいて、管はその首に巻きついている。管自体は何メートルもある巨大な鉄柱のような物体に繋がれていて、一部分が硝子製の柱の中央に満たされた水中では、幾つもの泡が浮かび上がっては消えていく。

 本来はこんなにも大きくないのだろうが、いわゆる水タバコ、水パイプというものの本体らしい。吸口は男がくわえたままであるそれは、タバコという名前の割に妙に甘ったるい匂いを立ちのぼらせていた。興味本位で尋ねてみれば、水タバコにはバニラだのイチゴだのといったフレーバーがあるそうだ。

「吸ってみるか?」

 勧められたが丁重に断った。

 未成年であり、少女である私はタバコになんて手は出さない。

 そんな清楚な少女たるべき私は今、男の自殺を手助けしていた。


 数時間かもしれなければ、数分前かもしれない話。

「……ありえないわ」

 目の前にそびえる巨大なそれに、頭を抱えたくなって。代わりに呻き声をあげていた。

 もう何度もこんな思いをしてきたし、そろそろ慣れたかと思っていた。

 パンの羽根をつけた蝶々だの、ステッキの一振りで現れるペンキで塗られた小道だの、頭のおかしい住人たちもたくさん見てきたつもりだ。

 それでも私は現実主義者である自分を崩したくはなかったし、それはキャラづけの一環でもなく私というそのものを表現したひとつの性格であり主張なのだと思っている。

 故に、だからこそ、この光景を全力で否定し尽くしたくてたまらない。

 こんなのは、ありえない。…………はずだ。

 うっすらと自信がなくなってしまうのは、何も私がこの国に染まりすぎているからではないだろう。世の中はとても広くて、ちっぽけな少女である私の常識では計り知れないような異様な風景が外の世界にはたくさん広がっているに違いない。たとえば南米だとか、なんだかそういったジャングル的なものがありそうなところにはこんな異常な物体が鎮座している可能性も、ひょっとしたら否めないのかもしれない。

 ……いや、うん、ごめんなさい。やっぱりさすがにないと思うの。

 つまらない問答を頭の中で繰り広げたら、少しばかり気持ちが落ち着いた。

 目の前のこれを現実として受け入れたくはないのだけれど、そこにあるものはあるのだから仕方がない。

 一歩後ろに下がって、首を上に向ける。

 湿り気を帯びた森の奥深く、うさぎに云われた通りに歩いてきたその場所に『それ』はあった。

 あまりにも巨大で、はじめは『それ』がなんなのか判別すらつかなかった。

 認めたくなかったと云えばその通りで、事実今も認めようとは思えない。

 両の手を広げて端と端、じゃあ収まりがつかないくらい。

 腕を回しても抱えきれないほどの大きな円筒状の白い柄に、ふくよかな肉づきの大きな傘。見上げる限り敷き詰められたひだはきれいな流線を描いて中央へ集中している。

 傘の派手な色合いと模様とがあからさまに毒々しさを主張しているが、そもそもこれは地球上に存在するアレと同一視してもいいものなんだろうか。

 いわゆる菌類、菌糸体。

 わかりやすく云うなら、キノコである。

 繰り抜いて穴を開ければ中に住めそうなほどのサイズを、そう認めるならの話だけど。

「…………ありえないわ、さすがに」

 色鮮やかなパステルカラーとビビッドな水玉模様。口にしたら確実に一機減りそうな色合いは、頼まれても口にしたくはない。物語が筋書き通りであるのなら、この欠片を持ち歩けば相当に便利なアイテムにはなるんだろうが、どうしてもそれだけは厭だった。

 もっとも、今までなにかを食べて体のサイズを変える必要もそんな展開もなかったのだから、今更迫られることもないだろうけど。


「――――あァ? 今、なんか云ったかよ?」

 事態を飲み込めなかったことが功を奏したのだろうか。

 思わず呻くように吐き出した呟きは、頭上から響いた声に拾われた。

 見上げた先には、奇怪な人影があった。

 人、と括っていいのかすら判別がつかない。ある程度人間らしい形をしたチェシャ猫を猫と扱うのなら、違うのか。

 やわらかそうなキノコの傘に腰かけているのは、一応は人間のシルエットをした男だった。

 高いところに座っているのでいまいちわかりづらいが、年齢は時計うさぎと同じか、少し下くらいに見える。うさぎと同じようにスーツを着込んでいるけれど、蛾の羽のように眼球の模様が広がるそれはどちらかと云うとビジュアル崩れのアーティストに思えた。

 派手な色をしたサングラスで視界を隠し、口にくわえた金属製の管からたっぷりと煙を吐き出している姿は、なるほど、多少なりとも役割を守ろうとしているようだ。

 奇怪なのは衣装というよりも風貌そのもので、水タバコを携えた手も、顔も、肌という肌が苔むしたような緑一色に覆われているのだ。いや、元々そういった色合いの肌をしていると捉えた方がよさそうなのだが、なんにせよ奇異に映ることに変わりはない。

 自らと肌の色が違うからと云って差別するのは云々と、当たり前のような文面が脳裏をよぎっていくけれど、これは少しばかり事情が違うと思う。遠目に見てもぬめりけを帯びた皮膚が、本能的な嫌悪を掻き立ててくる。

 なまじ、顔だけで云うなら整った方だと思えなくもないのが始末に悪い。

 完全に別種の生き物だと思えればまだマシなのに、人間らしい形をしすぎているのが完全に逆効果だ。

「……あ? 誰だテメエ」

 しばらく黙ったままこちらを品定めでもするように見下ろしていた緑色は、キセルから口を離して煙を吐き出すと、億劫そうな口ぶりでそんなことを云ってきた。

 ぶしつけな言葉に思わず硬直する。ヤンキーだとかチンピラだとか、そういったたぐいの単語が頭に浮かんだ。口調が完全に素行の悪そうな人間そのもので、間近で見たことのない人種だったばかりに思わず唖然としてしまう。

 これは普通に答えていいものなんだろうか。殴られたりしないのかしらと不安を覚えながらも、そもそもの答えが思い浮かばないことに気がついた。

 時計うさぎは私をメアリ・アンと呼び、それはアリスのことだとチェシャ猫が云った。

 私もその通りに了承していて、アリスと呼ばれてもメアリ・アンと呼ばれても「はぁい」と元気に返事をするだろう。

 だけれどそれは私のことではなくて、この国での役割の名称だ。それなら本名を名乗るべきなのかとも思うが、多分話がこじれるだけだろう。

「えっと、なんて答えたらいいのか、ちょっとよく……」

「わからねェってこたァないだろうがよ、お嬢ちゃん。嘘はいけねェな」

 もじもじと言葉を紡ぎかけたのを遮るように、男がぴしゃりと云い放つ。

「なにもテメエという存在がなんなのか――なんて哲学気取ってるわけでもねェんだからよ。そんなことは聞いたところで意味がねェ。教えてもらえるものなら聞いてみたいが、まァ外から来たお嬢ちゃんと俺とじゃそもそもの分類も違うんだろうさ。だから俺が聞きてェのは、至極簡単でわかりやすい二択でしかない。さて、改めて質問だ」

 無駄に饒舌な緑色の男は、ここで一旦言葉を区切る。

 舞台にでも立ったみたいに朗々と声を響かせ、自身の振る舞いに酔いしれて。


「――俺を殺しに来たのかい、お嬢ちゃん?」


 イエス オア ノー。

 なるほど、限りなく簡単な選択問題だ。

 それなのに、咄嗟に言葉が返せない。

 ――殺しに来たのか。

 なんて聞かれたのは、初めてで。その通りだったから、驚いた。

 今まで私が出会ってきた不思議の国の住人は用件を告げる前に自ら殺されに来ていたから、考えてもみなかったのかもしれない。いいや、そんなことはないだろう。きっと思考の中から強制的に排除していただけだ。

 向こうから来るのだから、仕方ない。

 私は流されているだけ。

 そんな云い訳をしたくて、していたくて、目を背けていたに過ぎないんだ。

「…………その質問になら答えられるわ。イエス、よ」

「そうだろうとも」

 キセルを噛み鳴らして、男が笑う。残忍で凶悪な笑みを乗せて私を見下ろしているけれど、その姿はひどく滑稽だ。

 色鮮やかなキノコの上で腕組みして気取ったところで、ちっともかっこよくなんてない。

「どうぞ、私に殺されてちょうだい、芋虫さん」

 スカートの端をつまんでかわいらしくお辞儀をしてみせる。

 芝居がかった動作の好きな芋虫は、満足気に笑い声を立てた。

「あがってきな。ヤらせてやるよ」

 やけに物分りのいい芋虫が煙を吐き出すと、薄く色づく綿あめみたいな紫煙が矢印の形に姿を変える。

 器用なことをしてくれるものだと目を向ければ、示された先には長いはしごがかかっていた。

「……これ、私がのぼるの?」

 何メートルあるともしれないキノコに立てかけられたはしごを見上げて、呆然と問う。

「云っておくが、俺はここから降りる気はねェぞ」

 不精なんでな、と告げる芋虫はそれ以上を云う気がないようで、既にそっぽを向いて煙を吹かしている。

 ……どいつもこいつも。この国では年齢が上がるごとに厄介なことばかりを云うようになる仕組みでもあるんだろうか。年寄りの方が頑固だとか、そういった問題ではない気がする。

 面倒くさい奴筆頭のうさぎの仏頂面を思い浮かべて、頭を振った。

 多分、アイツよりは断然マシだ。


 やってしまえば案外と楽しいもので、のぼる度に高くなっていく視界と周囲の風景を眺める余裕さえできていた。

 はしごに足をかけて、ゆっくりと持ち上げる。黙々と両手足を動かしている間は何事にも無関心でいられるし、おしゃべりな芋虫も始めのうちはなんやかやと云ってきていたが、私がろくに返事を返さないせいか、次第に声をかけてこなくなった。

 木のぼりというのをしたことは生まれてから一度もないけれど、こんな感じなんだろうか。なかなかに愉快な気分だ。

 このバカみたいな空の色すらも、楽しむ余裕が生まれている。

「よ、ぃしょっと」

 ちょっとばかりはしたないかけ声と動作で、手を伸ばして身を投げ出す。

 やっと届いたキノコの傘は、触れた瞬間に手を離したくなるような、なんとも云えない感触をしている。

 濡れているわけでもなく、乾燥しているわけでもない。やわらかすぎるのに弾力があって、だけれど重みで沈み込んでいく感覚が気持ち悪い。シロップに浸したスポンジ生地に寝そべるような云い難い気色の悪さに顔をしかめていると、頭上から声が振ってきた。

「…………って云うか、お前よォ……」

 キノコの上にあぐらをかいて座っているのは、先ほどの芋虫だ。

 間近で見ると更に奇妙さが際立つ緑色の顔を歪めて、男は何故だか苛立っているようだった。

「えっと、なにかしら?」

 半分だけ体を乗り出してじたばたとしていると、声の大きさが格段と上がる。

「なにかしら? ――じゃねェよ! いつまで待たせるんだよ遅すぎだろ!? こんなチンケなはしごのぼってくるだけに何分かけてるんだよ、いいや一時間くらいかかったか? せっかくのタバコも終わっちまって、仕方ねェから新しいの吸おうとしたらやっとこさ顔を出しやがる! 空気読めよ、もう一回のぼり直せとは云わねェけど!」

 ……どうやらお怒りのご様子だ。

 私としては、なにに対して怒られているのかもわからないので、ひとまず首を傾げるより他にない。

 えぇっとつまり、遅刻だ大変遅れちゃう――ってところだろうか。まるで、うさぎのような口ぶりだ。

「あら、ごめんなさい。一服したいならどうぞ?」

「ッ、もう済んでるんだよ!!」

 怒鳴られてしまった。どうやら怒りっぽいところもきちんと役割通りらしい。

 芋虫は尚も不平を垂れながらも結局もう一服することにしたようで、人を放置してさっさと準備を始めている。

 金属製の箸で真っ赤に焼けた炭を掴み、アルミホイル(もしくはそれに似通ったなにか)を張ったボウルの上に並べると、指揮棒みたいに箸を振って合図する。

 途端に頭上から植物の蔓が伸びてきて、エレベーターにも似た動作でボウルを持ち上げて運んでいった。蔓がキノコの中心に置かれた鉄柱のてっぺんまでボウルを運び終えると、やがて熱せられた蒸気が硝子の中であぶくを作り出す。

「……えっ? なによ、今の。ずるい」

「ハァ?なにがだよ」

 声を上げると、煙を吐き出した芋虫がげんなりとした視線を投げてくる。

 私は、はるか頭上に帰っていく蔓を指し示し、指を上下に振ってみせる。

「今みたいに、私も上まで運んでくれればよかったじゃない。できないの?」

「……………………………………………………………………………………あッ」

 しばらくキセルをくわえたままで長考したのちに、芋虫は頭を抱えたのだった。


「しかしわかんねェな。見ず知らずの他人くびり殺してまで叶えたい願いなんて、早々あるもんなのかね」

 というわけで、足場の悪いキノコの上で作業を続けている。

 一応チェシャ猫にもらった草刈り鎌は持参していたものの、芋虫が見るなり顔をしかめて「惨殺なんてごめんだ」と云ったので仕方がない。確かに私の力では一撃で致命傷を与えられるとは思えないし、血まみれになりながら苦しまれても後味が悪い。

 ここまで、和やかとは云い切れずとも言葉を交わしておいて目的は一切ぶれていない時点で後味もなにもないのかもしれないけれど、そんなのは多分、気分の問題だ。

 私がしていることは殺し合いではなくて、一方的な殺戮で。

 しかも目的は自分の願いを叶えるため、なんていうエゴイスティック。

 今までは住人たちが自ら望んで殺されに来てくれていたけれど、それこそがおかしいのだと改めて突きつけられて頭が冷える。おぼろげにしか認識できていなかった異常さが、ますますと際立って感じられるほどに。

 殺しに来たのかと、そう尋ねたのは芋虫が初めてだった。

 そういう意味では、彼が発した初体験という言葉もあながち間違ってはいない。

 トカゲのビルに、ドードー鳥に、公爵家。彼らは皆一様に、「うさぎに云われて来た」とだけ伝えればすぐさま死にに行った。今まではこんなにも言葉を交わすこともなく、淡々と、それこそ流れ作業そのままに動いてきたから違和感が通りすぎるのも早かった。

「可哀想なアリスさんには、一体どんなご立派な願いごとがあるんですかねェ? 云ってみろよ、畜生が」

 遠慮の一切がない敵意に、逆に怯むことすらできない。

 なんの隠し立てもなく突きつけられる言葉に、寧ろ素直になれるくらいだ。

「別にね、誰かを殺してでも叶えたいとか、そこまでは思ってなかったはずなのよ。提示された条件がこれしかなかった。だからこうしてる。それだけだもの」

 芋虫が不服そうに鼻を鳴らす。視線はどこまでも冷ややかだ。

 なのに、どうしてか。

 彼の云い分に耳を傾ける度に、私の中でなにかが掻き回されながら、凝固していく。

「こうしろって云われたのでそうしてますなんて、馬鹿でも使わねェ云い訳だぜ? テメエで考えてテメエが決めた。最終的にはそこだろうが。責任転嫁する相手を探してるなよ。殺せって云われたんです、勝手に殺されに来るんです、だから私は被害者ですってか? ンなこたァ云えねェやな? 現にこうして今だって、人の首に管巻いてんのは俺に頼まれたからってか? テメエはこれが終わったあとに、やめてくださいって云われなかったんですとでも云うのかよ?」

 緑色の手が伸びてきて、私の顎を掴む。強引に顔を持ち上げられて目線を合わせられたところで、色眼鏡の向こう側に見える瞳の色なんてわからない。

 触れる肌は虫のくせに温かい。

 もうすぐ、冷たくなるくせに。

「……忘れんなよ。テメエがなるのは加害者だ」

 低い声でささやかれる。

 呪詛にも似た言葉が耳に飛び込んできて、頭の中を跳ね返って遊んでいる。

「直に慣れるなんて思うんじゃねェ。慣れたつもりにもなるんじゃねェよ。テメエのしていることは、初めから終わりまで全部が全部間違いだ。テメエのよくわからん願いごとで、俺は死ぬ。それ以外の奴らも同等だ。死体の上に成り立った願いなんて、叶って嬉しいものなのかよ?」

 どこまでも芋虫は饒舌に語る。云っていることはもっともで、だから私は反論しない。

 私は加害者で、自分勝手な願いごとのために殺人鬼になった極悪少女。

 なんにも、どこも間違ってなんかいない。

 自分でだってわかってる。

 とは云え、事実を受け入れることと腹が立つのは担当する感情がまるで別物なので、いい加減に口答えしたいところでもある。

「そんなに知りたいなら、見せてあげるわよ」

「――は? ちょッ、待て、お前いきなりなにを……ッ!?」

 手を振りほどき、キノコの上に足を投げ出す。

 マシュマロとよく焼いたパンケーキと求肥を足したような感触の床に両足を開いて座り込み、片膝を持ち上げてニーソックスに手をかける。

 めくれあがるスカートの中のパニエが邪魔で仕方ない。

「い、いやいやいや、そんなサービス、別にいらねェし嬉しくねェし、マジで落ち着けなにしてんだ。ガキとは云え女だろうがッ」

 口からこぼれたキセルを取り落としそうになりながら、両手で危なげに受け止める芋虫が意味のわからない言葉を繰り返す。

 ひとつだけわかるのは、ガキって云うな。それくらいだ。

「レディに向かって失礼なこと云わないでちょうだい。アンタが知りたがってるから、見せてやるのよ。私が、アンタたちを虐殺してまで叶えたい願いっていうやつを」

 エナメル靴の留め具を外し、ソックスと一緒に脱ぎ捨てる。

 冷たい空気にさらされた皮膚に鳥肌が立った。湿疹みたいに広がる様子は気持ち悪いけれど、そんなものは気にならないくらいに醜い素足が現れる。


 ――本当に、気持ち悪い。これ以上を願うのは贅沢なんだろうけど、上乗せできるものならこれも一緒に消してほしい。


 そんな、馬鹿なことを考える。

 それこそ、奇跡を上書きするみたいで、ありえないってわかっているのに。

「…………お前……そうか、だからさっきも……なんだ、それ……どうした?」

 うさぎはこの足を見て、失笑しただけだった。チェシャ猫は、この国へ来る前の私の状態を知っているから、なにも云わない。芋虫は口の中で色々とぼやきながら、呆然としている。

 それ、と緑色の指が示した肌の上には、多くの傷が重なっていた。

 私の足は、少女のようにきれいじゃない。

 汚れも知らないようなアリスには、こんな醜い傷あるわけない。

 

「交通事故で、車にね――えっと、車はわかる? 不思議の国にはないのかしら。だったらいいわね。こんな風に、タイヤの下敷きになることもないんだろうし」

 当時のことは、よく覚えていない。救急車の赤いランプが明滅を繰り返すのとすぐそばであの人が泣き叫んでいるのと足元に広がった水たまりみたいな血の海とが、ぼんやりと霞がかった記憶の中に浮かんでは消えていく。

 どうしてそんな事故にあったのかも、私は忘れてしまっていた。

 あの人は、事故のショックが大きかったせいだと云って、仔細を語ってはくれなかった。私の不注意か、それとも車が突っ込んできたのか、もしくはなにか別の原因があったのかはわからない。思い出そうとしたことすら、もう忘れた。

 残されたのは、両足に残る抉られたような傷跡と――私が歩けなくなったという事実だけだった。

 

 置いてかないでと私は喚く。

 車椅子にも不慣れな私はひとりで移動することもままならなくて、家族や医師や看護師や、とにかくたくさんの人を困らせた。ひとりにするなと癇癪を起こしては無事だった上半身で精一杯に暴れ、ベッドから転がり落ちては動けないと泣き叫び、私の前からいなくなろうものなら絶叫と共に呼び戻される。

 結局あの人以外は私の前にほとんど姿を現さなくなり、依存心はたったひとりに集中する羽目になった。

 それでもあの人はやさしく私の傍にいてくれて、励ましてくれて、怖いと云って泣けば慰め、もう厭だと嘆けば大丈夫だと抱きしめてくれた。それが逆に弱い子はいらないと云われているようで、徐々に私の心を蝕んでいたことにはあの人は気づいていないだろうし、そんなのはもう完全な責任転嫁で、悪く云えば逆切れだ。

 白い服を着たあの人は、私を守る茨のように常に寄り添ってくれていた。

 だから私は、動かない足があっても我慢ができた。

 もう無理かもしれないなんて、顔を出しそうになる諦めにも必死に蓋をしてこられた。

 …………なのに。

 あの人は、私を裏切ったのだ。

 

 そうして。

 泣いて、叫んで、嘆いて、喚いて、嫌だ厭だと絶叫をほとばしらせて。

 疲れ切って眠りの世界へ逃げた夏の夜、私の目の前にアイツが現れた。

 月光を背に負って、耳と尻尾を揺らしながら、夢の国の住人が。


「――それで、チェシャ猫に云われるままに時計うさぎを追いかけて、気がついたらこのザマよ。笑うところなら笑ってもいいけど」

 アリスがゲームに参加する条件の中に、こんなものがある。

『ゲームプレイに不都合な事情があり、それが願いに付随する場合は、先だって願いの一部を有効とする』

 つまり、ゲーム開始時から私の願いは叶えられていたのだ。

 時計うさぎに手渡された小瓶の中身を飲み干して、私は動く両足を手に入れた。おかげで自由に歩き回れるし、うさぎを追いかけることだってできるし、はしごを伝ってキノコの上にのぼってくることだってできるようになった。

 だけれど、条件はこう続く。

『クリア条件を満たせなかった場合はその願いは取り下げられる。ゲーム期間中に与えられた有効条件も返上されるものとする』

 つまり、私がゲームをクリアできなければ足は元に戻ってしまう。

 これは実に効果的な作戦だと思えなくもない。先んじて願いが叶った状況を教え込み、これがなくなってしまうと脅しつけられているようなものなのだ。そもそも最初に足が動かなければ、私はゲームそのものに懐疑的な態度をとっただろうし、内容を聞けば跳ね除けずとも嫌悪感を示したことだろう。人を殺して願いを叶えろだなんて馬鹿げていると、そのときなら云えたはずなのだ。

 だけれど私は知らない間にネズミを殺してしまって、時計うさぎは優等生だと褒め称えた。その時点で私のちっぽけな理性はなにかを見失っていたんだろうし、それより前に浮かれていたに決まっているのだ。


 歩ける。

 手を引いて歩いてもらえる。追いかけたら追いつける。

 床の冷ややかな感触が足の裏を通じて伝わってくるし、足を動かす感覚がある。

 自覚した瞬間は、頭の奥が沸騰するくらいに熱くなって、頬が紅潮するのを抑えることができなかった。

 長いこと忘れていた歩くという動作がこんなにも快感だとは思わなかった。人は当たり前のように歩いているけれど、本来それらはこの感動という地盤のもとに成り立っていることを理解してしかるべきだ。

 まるで、赤い靴をはいて踊り続ける愚かな少女だ。

 最後には足を切断されて義足で生活するようになる彼女だって、こうして足を取り戻せばまた浮かれて踊り出すことだろう。

 それほどまでに私は足を取り戻すことを願っていて、だからこそ条件を飲み込んだ。

 なりふり構わずに叶えたい願いがある。

 チェシャ猫に問われて頷いたあのときから、私に悩む暇などなかったのだと云い聞かせ。

 私は、人でなしの少女になった。


「私はこのまま歩いていたい。置いていかれるのは、もう厭なの。だからアンタたちを殺しに来たのよ。ご理解いただけたかしら?」


 促しても笑わなかった芋虫は、ただ黙って私の足へと目を落とす。色眼鏡の向こうの瞳は、本当に何色をしているんだろうか。チェシャ猫は色だけならばきれいな青灰色で、時計うさぎは重苦しい漆黒だ。

 黙りこくった芋虫は、やがて思い出したようにキセルを口に運ぶ。

「…………チェシャ猫に誘われたって、云ったか?」

 吐き出された煙が空中で歪んでいく。

 集まって丸くなった綿あめに三角形の耳が生えてきて、猫の形に変化する。もうひとつ吐き出された煙からは、二本の長い耳が伸びた。

「時計うさぎじゃなくて、チェシャ猫に? この国に、案内されたって?」

「……そうだけど」

 妙なところに食いつかれて戸惑ってしまう。

 それきり芋虫はまたしても黙り込んでしまい、私は辛抱強く彼がまた口を開いてくれるのを待つ。

 間が持たないので、投げ出していたニーソックスを拾い、太ももの上まで引き上げて、靴の留め具をしっかりと止める。足場が悪くなければきちんと立ち上がれるのだけれども、やわらかすぎるキノコの上ではうまく身動きがとれない。エナメルの靴が床に沈む。巨大な水パイプを支えにゆっくりと、しっかりと。両足で踏みつけたキノコの傘は、小さな私の体重でへこんでいた。

 数分は待っただろうか。

 静かに最後の煙を吐き出すと、芋虫はキセルをくわえるのをやめた。

「……っくく、はははは! ……あぁ、そうかよ。そういうことかよ。まったく、随分と待たせやがって」

 待たせたのはそちらだろうに、そんなことを云い出して――心底楽しげな声を立てて、笑い出す。

「おい。アリス――で、いいのか?」

「今のところは――いいはずだけど」

 いまいち自信のない返事をするものの、芋虫は納得したらしい。

「よし。そんなら、受け取れや」

 肩を震わせながら、芋虫がキセルを投げて寄越す。自らの首に巻きつけられた管が絞まり喉を圧迫されても、彼はまだ笑っていた。

「あァ、まったくよ。随分と待ったんだ。待ちくたびれた。何度も、何度も、何度もだ。今回こそはとつまらねェ夢を見て、しまいにゃそれすら飽きちまった。俺たち不思議の国の住人は、どいつもこいつも狂ってる。そしてそれ以上に、飽いているのさ」

 視線だけで促され、手にしたキセルを巨大な鉄の柱に結びつける。解けないように固定をすれば、芋虫の首は完全に管に巻かれて繋がれていた。

「永遠に繰り返し続ける夢をしあわせだと感じられるのは、最初のうちだけだ。いつかは飽いて、終わりだけを願うようになっちまう」

 ――ずっと醒めない夢の中に、いたいと思うか?

 問いかけに、私は素直に首を振った。

 横に広がった髪が、肩に落ちてくる。また少し、伸びた気がする。

 喉の奥でひどく楽しげに笑うと、芋虫はのそりと立ち上がった。首に巻かれた管を引きずりながら、キノコの端へと歩いていく。このまま管を外して下へ降りれば草の中に逃げられるのに、彼はどうせ選ぶことができない。

 アリスのために殺される。

 不思議の国の住人に、逃げ道などありはしないのだ。

「アンタに託すのは正直不安でしかねェけどよ。赤いアリスのお嬢ちゃん。今度こそは、期待してるぜ? やっとあの胸糞悪ィ野郎が寄越したんだ。アンタにはそれだけのなにかがあるんだって、久しぶりに夢見させてくれよ。なァ?」

「……云ってることが、よくわからないわ」

 芋虫の饒舌は、正直意味のわからない言葉が多すぎる。

 そのすべてを理解してしまえば、きっと私は不快に顔を歪める羽目になるんだろう。だけれど、脳内を引っ掻き回しては自然と考えを固めてくれる彼の言葉は、不思議と厭だとは思えなかった。

 元より会話をしようとすらしない時計うさぎや、最終的には言葉を濁してしまうチェシャ猫よりも余程に話し甲斐のある相手だとすら思えてきている。

 だからこそ、哀しい。

 彼と会話が出来るこの時間が、もうすぐに消えてしまうのが。

「他所からきたお嬢ちゃんに教えてやるよ。この国にはな、アンタ以外にも物語の外から来た連中がいやがるのさ。そいつらが、ここをおかしくしちまった。元々狂ってた俺たちを、自ら死にに行きたくなるようにまで飽きさせたんだ。繰り返し、繰り返し。もう飽き飽きしてるんだよ。だから、なァ、頼むよ。今度こそ、俺たちを――」


 ――――――――――――――――――――――もう、全部、終わらせてくれ。


「死なせてくれよ」

 ニィっと、笑みが刻まれる。足元に広がっていた管が急速に音を立てて滑り始める。横に傾いだ芋虫の体は宙を凪ぎ、傘の外へと消えていく。解けてしまわないようにと、鉄柱に結びつけたキセルを掴んだ。

「っ、きゃ……!」

 下へ下へと墜ちていこうとする力に引きずられて、私の体も滑り出す。


「――――アリス!!」


 少し離れたところから、私を呼ぶ声が聞こえた。

 それが私なのだと認識できたのは、彼があまりにも必死だったからだ。

 だけれど姿が見えなくて、思わず悲鳴を上げたくなった。

 視界が淡い桃色に覆われて、なにも見えない。不安がよぎる。


 今、私を呼んだのは誰?

 あなたが呼んだのは、私でいいの?


 手の中から重みが消える。

 桃色に染まった視界の隅で、なにかがひしゃげる音がした。

 肉が切れて骨が折れて、水っぽい物音がしばらく続いてやがて消える。

 最期の瞬間まで、芋虫は苦悶の声ひとつ立てなかった。笑うこともしなかった。

 首吊りなんて、きっとすごく苦しいだろうに。

 私にとっては楽だからって、こんなことを手伝わせて。

 殺人鬼だなんて呼ぶのなら、この手で殺させてくれればよかったのに。

「――――――アリス、アリス、大丈夫?」

 耳元に息が吹きかけられる。くすぐったさに身をよじって、手のひらが空を切った。

「アリス、ここだよ。僕はこっち。これ、カード、取ってきたよ」

 左手を握られて、四角い紙片を押しつけられる。言葉通りなら、それはハートのスートを持ったトランプに違いない。

 空いた右手で目の前の桃色を剥ぎ取ろうと試みる。

 思いのほか簡単に、ずるりと薄皮が剥けるみたいに視界が開けた。

「…………チェシャ猫、アンタだったの」

 目の前に、琥珀色の髪が揺れていた。

 あんな声で私を呼んだチェシャ猫は、ブルーグレーの瞳を悪戯を咎められた子供みたいに揺らしながらこちらを見上げている。

 押しつけられたカードに目を落とす。ハートのAの絵札があった。

 ……なるほど、これも初体験になるんだろうか。

 違うだろうと笑った芋虫の予想は、まるで当てになっていなかったことになる。

 続けて右手に視線を向ければ、手の中で、薄桃色の花弁が無残に握り潰されていた。

 どうやら茨はまたしても私を守ったようだ。

「その……君の周りの花ってさ、いつも君を守ってるよね」

「そう、みたいね」

 遠慮がちにかけられた声に、他に答えるべき言葉も見当たらない。

 最近では慣れきってしまっていて、気にも留めていなかったことだ。

 この国に足を踏み入れたそのときから、私の周囲には茨が咲いていた。ときには蔓を伸ばして私の身を守り、夜になれば籠を編み上げてゆりかごにしてくれる。

 住人を殺した際の返り血はすべて白い花が吸い取っていったし、私が住人の前に出る際には盾として、常に足元に張り巡らされている。

 私が足を取られて転ばないことが不思議なくらいだ。

 ずっと、返り血を浴びていたせいだろうか。茨は白から薄桃色に変色している。

 それは私を守る固く堅い檻であり、同時に、やさしく包むゆりかごだ。

 今のようにキノコの下まで落とされそうになった私の体を、蔓や花びらで受け止めることなど珍しくもない。当たり前のように周囲に湧いて出て、気がつけばいなくなっているので、大して気にしたこともなかったのだが。

「……これって、不思議の国独特の現象とかじゃなかったのね」

 もしくは、アリスだけの特権、なのだろうか。

「うーん……少なくとも僕は見たことないよ」

 チェシャ猫が首を傾げながら指を伸ばすと、茨は威嚇するようにうねりを上げた。

 危ないからと引き下がらせて、右手に掴んだままだった花弁を払う。桜のような淡い色がパステルカラーのキノコに散らばって、まだらな模様を作り上げる。

 身を挺して守られているというのは、こういった気分になるものなのか。

 なんとなく、そう、不愉快だ。

 視界を覆われたことは今までになく初めてのことだったので、どうしてここまでされるのかがわからないのも手伝っているのだろう。

「その茨にどこまで意思があるのかは僕にはわからないけど、やりたいことは少しわかるよ。君に、汚いものを見せたくないんだ」

 知ったかぶりで呟かれる猫の言葉は無視をする。

 首吊り死体はひどく醜いものだと、確かに聞いたことはあるけれど。

 あんなものは見なくていいと、自分勝手に決められるのは癪だ。

 あの人みたいで腹が立つ。

 あの人のことは大好きだけど、そういうところはすごく厭だった。


「ねえ、チェシャ猫。芋虫に会ったことはある?」

「何度かね。あのヒト、話が長くて苦手だったな」

 ……過去形だ。

 あぁ、そうか。もう彼はこの国には存在しないのだから当たり前だ。

 芋虫は、私が殺してしまったのだから。

 私が、彼を終わらせた。

 さっきまであんなに話をしていたのに、あの饒舌を聞く機会はもう二度とないのだ。

 肩をすくめるチェシャ猫の、青灰色を見据えて訊いてみる。

「アイツの目の色――アンタ、知ってた?」

 琥珀の髪が横に流れる。

 手の中のAは、ひたすらに沈黙だけを守っていた。

ものすごく久しぶりの更新です。お元気ですか。

芋虫は以前作ったキャラのリファインです。気に入っていたので、供養も込めてお話の重要な部分に登場させました。

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