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【詩集】拙くも進もうとする試み

春の言葉

作者: につき
掲載日:2015/04/25

やわらかい夕陽がさしている。

緑はあわく、花はおぼろ。

美味しそうなサラダのようで、

思わず立ち止まると、

風向きが変わったのか、

甘く爽やかな香りが

届いてきた。

振り返れば、

夢のように垂れている

藤の花の香り。


鳥が鳴いている。

その鳥の名を知らない。

もしかしたら知っているのかも知れない。

この薄くぼけたオレンジの斜光は、

夕暮れを美しく染めている。

つまらなかった一日の終わりに、

こんなにもあわい美が広がっている。

やがてくる夜も薫るのだろうし、

朝もまた漂うように始まるだろう。

しかし、またニンゲンの一日が始まる。

生々しく俗な日々のひとつ。

それでも、

またこんな夕暮れは待っていて、

夜は満ちていく香りを湛えている。

もうすっかり目覚めてしまった春は

ここにいて、黙って微笑んでいる。


どうしてだか、春の言葉を誰も知らない。

それでも春を歌い、浸っているのは、

きっともしかしたらわたしたちが、

春の一部をこころに持っているから。

そのぼんやりした光は、しずかな雨は、

なにかを育てて、引き継いでいく。


 *

 仕事の帰り道、夕陽が差していました。美しく新緑と花がありました。天気も良かったので、あたりは春の陽気にどこか浮かれるようでした。その様子が、詩になりそうだと思いました。

 春の言葉とは、春へと直接に語り掛けることの出来る言葉のことです。季節という形のないものに語ることはできません。そこから語り掛けを聞くことは出来ますが、それは一方通行です。どうしてだか、春の言葉を誰も知らない。とは、このことです。その鳥の名を知らない。/もしかしたら、知っているのかも知れない。とは、春の言葉を知らない。でも、聞いたことはある。そして、自分の一部にその感触がある。と、いうことです。

お読み頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] につきさん、はじめまして。 すごく良い詩ですね。 先に「続」を読んでから読みました。 一瞬「サラダ…!?」と思ったんですが、 確かに、春のやわらかい葉っぱや淡い色の花は サラダにして食べ…
[良い点] 一日の終わりに、それがどんなにつまらない一日だったとしても、淡い夕暮れが待っていてくれるという考え方が、とても素敵だと思いました。
2015/04/26 23:36 退会済み
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