8月2日
8月2日。俺は風邪を引いた。身体がだるすぎて、朝から起きることもせずに布団に籠っていた。
「おかゆつくっておいたから、食べれるようになったら温めて食べらいよ~」
のんきな母親の声に、心で返事をする。玄関のドアに鍵がかかる音がした。母親が仕事へ向かったのだろう。
ごほごほと咳が出る。俺は布団を口元まで引き寄せ、眠りにつくことにした。
俺が起こされたのは、それから数時間が経ったチャイムの音だった。
遠慮がちに2、3回鳴るインターフォンは来客を告げている。俺はゆっくりと起き上がりながら時計を見る。針は3時を指している。朝起きて、今まで寝ていたということは、6時間近く寝ていたということか。
「ずいぶん寝たな…」
乾いた声が漏れる。部屋から出ると、ひやりとした風が身体を包む。先ほどまで布団に籠っていたためか、肌寒く感じる。頭をぼりぼりと掻きながら、俺は階段を下りて玄関へと向かう。
何度かせき込んでから、俺はドアを開けた。…この先になにが待っているかも知らずに。
「はい…」
「あっ。安藤く…」
ぼさぼさの状態で出ると、同じクラスの関さんがマフラーを付けて寒そうに立っていた。が、俺を見たとたん、カチンと音を立てて固まった。
「…?どうしたの、だいじょう…」
「えっ!?あ、うん!!だ、だだだ大丈夫です!あ!これ、きき今日のプリントですっ!!そそそれじゃあっ!!」
「え!?」
はっとしたようにプリントを俺に押し付けると、扉に衝突してから急いで開けると、逃げるように帰って行った。状況についていけない俺は、手元のプリントを持ったまま、ボー然と立ち尽くすことしかできなかった。
すると、母親が帰ってきて、俺を見ると自分の姿を鏡で視てみろという。
俺は頭に疑問符を浮かべながら、風呂場へと行く。
「…あ。」
そこで俺は、鏡に映るぼさぼさ頭のパンツ男と対面したのだった。
母親「あんたもばかだねぇ。あんな可愛い子の前でそんなみっともない格好して」
俺「ため息つきたいのはこっちだっつーの。明日からどうすんだよ、俺の学校生活…」
母親「不登校なんてだめよ!そんなことしたら、家から追い出すんだから!」
俺「そんなんしねぇよ!気まずいけど、学校には行くっつーの!」
謎の人物A「大丈夫。きっと関さん、安藤君のこと、許しているから」
俺「なんで分るんだよ!てかお前誰だよ!」
謎の人物A「ここまでお付き合いくださり、ありがとうございまし…」
俺「俺を無視するなぁぁぁ!!」
謎の人物A「…じゃあ、あなたの下の名前は何ですか?応えられたらお教えしましょう。てか、気まずいなら、いっそのことパンツで登校しr」
俺「名前…。か、母さん!」
謎の人物A「お母さんにはお帰りいただきました」
あぁ。ながくなりそうですので、ここらで切りましょう。こんな駄文にまでお付き合いくださり、本当にありがとうございます。安藤君と関さんの下の名前は皆さまのご想像にお任せいたします。
それでは、次の作品でも会えますことを願って。紅