閑話 恋愛感情?いえ頑張って友愛です!
江田彩香には自慢の幼なじみがいる。
河口夏樹。
彼はクォーターなのだが見た目は完全に外国人だ。
彼の母親は黒髪黒目の純日本人風だが隔世遺伝の成せる技かもしれない。
高身長に少し外に跳ねた金色の髪と碧の瞳。
勉学も運動もそつなくこなす夏樹は中高では王子様のような存在だった。
よく彩香は夏樹と付き合ってるのではないかと言われたが、その可能性は万に1つもない。
何故なら互いの好みが似ているからだ。
「彩香、また確認されてた?」
クスクスと笑いながら夏樹は彩香に近寄る。
「大学生にもなって確認されるとは思わなかったよ。直接聞けば良いよね。」
彩香も笑いながら夏樹に言い返す。
「いくら好みのタイプでも直接聞いてこない子はちょっとね。」
彩香と夏樹は共に面倒見の良いタイプで世話好きである。
故に2人でいるのは楽で好きだが付き合いたいかと言われれば話は別なのだ。
あっちでの暮らし懐かしいわーなんて思いながら彩香は久々に会える幼馴染みを心待ちにしていた。
彩香がこの金緑の国スパメトールに呼ばれた目的、祈りを捧げるのを東の神殿を終え少し時間が出来た。
「彩香、久しぶり。髪伸びたね。」
夏樹が彩香を呼んだ。
彩香は女性にしては身長は高めでトゥイティリアンと同じくらいあり、ワンレンで肩くらいにつきそうな黒髪にキリっとした黒色の瞳をしている。
「久しぶり!元気だった?」
「元気だよ。彩香は?色々と大変らしいね。」
「元気、元気。ウィットさんが厳しいくらいよ。」
豪快に笑う彩香に穏やかに笑う夏樹。
互いに前からの雰囲気が変わらず安心したりもしている。
暫くはこれまでの出来事を話ながら談笑していた。
話をしていくうちに2人はある事に気付いた。
「夏樹はさ、リテアさんの事…」
「そう言う彩香だって王様の事気になってるでしょ?」
言えば言い返され笑った。
好みはどうやっても変わらないらしい。
夏樹に至っては相手にもある程度好意を持たれているようで羨ましいと彩香は思っていた。
魔術省に向かう夏樹に着いていきキキュリテアンダに見つかれば少し嫉妬の混じったような目で彩香は見られた。
やっぱり羨ましいなと彩香は思い大切な幼馴染みの幸福を祈るのだった。