微妙な距離感
秀才の魔術士宅で同居が始まり3週間。
キキュリテアンダは夏樹は良く働き世話好きだと認識していた。
今まではたまにトゥイティリアンやセテセンバニャーニが来ては家事をしてくれていた。
現在は夏樹が家事を率先してやり、家は今までとは違う生活感のある雰囲気を醸し出す。
キキュリテアンダは魔術以外は全て面倒だ。
お腹が減ろうが眠たくなろうが無視をして倒れるのを発見されるのが日常茶飯事だった。
キキュリテアンダはそれで良かったのに夏樹は違った。
「食事は体の基本!ちゃんと食べて下さいね?」
と言って出される食事は異世界料理もあるが美味しいのが出てくる。
「ちゃんと布団で寝た方が後の効率が良くなりますよ。」
しぶしぶキキュリテアンダが布団に行けば、ふわふわとして良い匂いがした。
今更ながらの注意を夏樹はキキュリテアンダにし出過ぎた真似だと思っているが彼女が心配なのだ。
キキュリテアンダにとっては至れり尽くせりで多少口煩いがそれにも満足していた。
「年下なのにしっかりしてるぅ…母親?ん~…父親みたいよ。」
「保護者は嬉しくないね。」
「今まで、こんなに心配して貰った事ないわよ?ナツキは私を責める権利はあっても世話する義理はないでしょう。」
キキュリテアンダは夏樹を巻き込んでしまったのを少しは気にしていたようだ。
少し落ち込んでる様子が伺える。
「驚きはしたけど、未知なる体験は楽しいですよ。それに巫女でない俺が路頭に迷わず生活出来るのはリテアさんのお陰だから。」
夏樹の朗らかな笑顔で言われるとキキュリテアンダは胸が少し苦しい気がした。
夏樹の優しくて明るい性格はキキュリテアンダは眩しすぎた。