ボクから見たキミ
最初、ボクから見たセセンは宝の持ち腐れだった。
膨大な術力量、それに耐えられる身体。
なのにお馬鹿さん…何の因果だろう。
紆余曲折で師匠の弟子となったボクの姉弟子としてセセンは存在していた。
「あたしはセテセンバニャーニ・ハッフェンブルグ。セセンってよんで!えーっと、おとーとでしくん?」
眩しすぎる笑顔で自己紹介された。
それまでボクのいた所は人より秀でると出る杭を打とうとせんばかりする奴が多い場所だった。
あんなキラキラする笑みを浮かべるのを見たのは久しぶりで胸がドキドキした。
「ちょっとお馬鹿さんだけど、熱心で良い子よ?」
「ししょー!あたし、おバカさんじゃないー。」
師匠の付け足しがセセンには気に食わなかったようで頬を膨らませながら反論している。
やり取りは非常に幼稚だが何故だか微笑ましかった。
濃い鬼灯色の髪は肩で揃えられていて少しつり目がちな翠色の瞳の女の子。
表情豊かで見ていて飽きない。
師匠の弟子になり数年経つとボクの魔術士としての位はセセンよりもずっと上になっていた。
魔術省にいる人達もだいぶ抜かして嫌味を言われる事もしばしば、まぁ師匠は
「努力なき者達のやっかみよ、放っておいてどんどん才能を伸ばしなさい。」
とお褒めと励ましの言葉を頂いたので更に気にしなくなった。
ある日、たまたまボクの悪口を言う輩が廊下にいてどうしようか迷っていたら反対側からセセンが来たようだ。
「え?なになにー?」
「おぉ、セテセンバニャーニよ。悔しくないのか?あの若僧また昇格したぞ。」
あーあー、セセンに変な事聞くなぁ。
少し苛々したから出て行こうとしたんだ。
「なんで?トゥティすごいんだよ!自分の事のようにうれしーよ!」
物凄く嬉しそうに笑いボクの自慢を語るセセンに彼奴らはわたわたしている。
ボクは顔が少し熱くなる。
恥ずかしいだけじゃない、くすぐったいような感覚だ。
「あ、トゥティー!」
少し廊下の柱の影から見えていたようでボクに向かって走ってくる。
明るくて少しお馬鹿なセセン。
でも太陽みたいに暖かく愛しい人。




