外人
(外人さんが現れた)
「ヘイユー」
俺ですか?
「ああ、そこの君だ」
流暢な日本語ですね
「I want to go to this station. Can you tell me the way?」
今さっき日本語喋ってましたよね?
「気のせい気のせい」
そうですか……
「んで、どやったらこの駅に行けるんだ?」
ガッツリ日本語なのは俺の幻聴ですか?
「ああ、そうなんじゃね?」
そうですか……
「まあ、種をあかすとさ……」
手品ですか?
「この超最新同時通訳装置を使っているのだ!」
へー
「リアクション薄!? なぁもっと驚いてよ~」
結構リアルに通訳しますねそれ
「そうそう! なんか最近の言葉とかも使えるっつ~か」
チャラいですね
「けどこれstill試作段階でsometimes it dosen't動かないんだ」
面倒くさいですね。なんとか分かりますけど……
「だがそこが面白くてイイ!!」
いや良くないでしょう色々困るでしょう
「いいじゃん。この前あったhigh school生は『ある人曰く、面白ければ全て許される』って言ってたよ」
……聞き覚えのあるセリフですね
「Japaneseは最高だね! 良い人ばっかりだ!」
そうですかね
「みんなあの人みたいな感じなんでしょ?」
そしたら日本はオシマイですね
「なかなか話が合っちゃってさ、ホレ」
……メル友になったんですか
「初めての日本人の友だちなんだ」
あいつを日本人と思うのもどうかと
「知り合いなのか?」
いいえ全く知りません知りたくありません
「彼にはこのtranslatorの言語補正もやってもらったんだ」
…………
「例えば、『shine』は日本語で『死ね』って訳するんですよね?」
それは英語で一番ローマ字読みしてはいけない単語です
「Also、『I Love You』にはいろんな訳し方があるんですね」
『愛してる』以外に?
「『月が綺麗ですね』とか」
夏目漱石か
「『俺のために毎朝味噌汁を作ってくれ』とか」
なかなか渋いプロポーズですね
「『べ、別にアンタのことなんて……スキじゃないんだからね!』
ベッタベタのツンデレ台詞ですね
「It was 驚いたけど、日本には『Girlfriend』っていう言葉は無いんですね」
さすが、非リア充の代表を名乗ってるだけのことはあるな
「他にも色々修正してもらったぜぃ。ワイルドだろぉ~」
{間違いだらけだ……}
「なにか言いましたか?」
そいつの意見は絶対無視したほうがいいですよいや無視しなさい
「ホワイ?!」
そう言えば駅に行く道を聞いてたんですよね
「あ~そだった。すっかり忘れてたわ」
ちょっと地図とその翻訳機を貸してくれませんか
「あゝ、いいぜ」
{こんなものが広まったら本当に日本は……}
「地図だけでいいのに、何で翻訳機まで
バキッ
(翻訳機は壊れてしまった)
「Hey!? Why did you break the translator?」
(おい!? 何で翻訳機をぶっ壊したんだ?)
I wrote the place we are and the way to the station. Please go alone.
(現在地と駅までの道のりを地図に描いておきましたので、あとは一人で頑張ってください)
「英語喋れるんかい!」
日本語喋れるんですか……