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不安
『速報です。道警からの発表で現在、北星地区で傷害事件が多発していると発表がありました。詳細についてはまだスタジオに入ってきていませんが付近にお住まいの方は不要不急の外出は控えるようにと呼びかけています。』
洗濯物を畳みながらテレビを見ていた千佳は不安がよぎった。
影山千佳 警察官の影山恵一を夫に持つ専業主婦だ。
傷害事件、、
警察官の妻として危険は承知で結婚した。
普段から朝早くに出勤するため恵一と顔を合わせるのは夜帰宅してから。
帰りが遅くなるたびに恵一の身に何かあったのではないか、いつか帰って来ない時がくるのではないか、そんな不安に襲われることもあった。
千佳は居てもたってもいられずスマホで恵一に電話を掛ける。
『現在お客様の携帯は電源が入っていないか、電波の、、、』
電話の向こうからは無機質な音声が流れ、恵一が電話に出ることはなかった。
千佳は胸騒ぎがした。
このまま恵一は帰ってこないかもしれない。
病院に運ばれたと連絡が来るかもしれない。
不幸の電話なんか聞きたくない。
どうか無事に帰ってきて。
どうかいつものように帰って来て仕事の文句を言って。
今の千佳には祈ることしか出来なかった。




