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引継
「規制本部から規制5」
「規制5です。どうぞ。」
交通規制本部からの返答はしばらくかかった。
恵一は腕時計を見るとたった5分しか経っていなかったが、体感的には1時間くらい経ったような気がしていた。
それは周りの市民からの圧が影響していたに違いない。
早く封鎖を解除しろ、早く街から出せ。
そんな思いが現場では渦巻いていた。
「自衛隊に現場を引継ぎ、地点Cに転進せよ。」
あっけない返答だった。しかし恵一は大体予想がついていた。
「了解。以上規制5」
引き継げるものは引き継いで次の現場に向かわせたい、細かい待機時間も無駄にせず、びっしり現場対応させたい。
苦情がこないように。
それが警察に根付いた習慣だ。
なぜ自衛隊が対応するのか、なぜ道路を封鎖するのか、聞きたいことはあったが、反抗したところで現場が変わるわけでも渋滞がなくなるわけでもない。
真相はわからないまま恵一は命令通りにバリケード前から次の地点へ移動することとした。
『皆さんにお知らせします。この道路は事態収拾までの間封鎖致します。ご迷惑おかけしますが御自宅で待機をお願い致します。』
自衛隊の設置したスピーカーから流れる広報とバリケードに集まった人々の怒号が街中にこだました。




