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封鎖
恵一は、バリケード前で足止めを食らって文句を言うために集まった市民の波に身体をねじ込み、なんとか警戒にあたっている隊員に話かけることができた。
「お疲れ様です。北星署の影山といいます。交通規制は警察でかけるはずですが。」
自衛隊員は、恵一を一瞥し無愛想に一言。
「自衛隊でこの道路を封鎖するようになりました。お引き取り下さい。」
なんだこの態度は、と恵一は嫌な気持ちになった。
元々警察で交通規制することは決まっていたはずだ。
もし自衛隊が来るなら警察にも情報が入っているはずだ。
しかも渋滞解消のための交通規制じゃなくて『封鎖』とはどういうことだ。
恵一は、無線で交通規制本部に連絡を取る。
「規制5から規制本部。」
「規制本部です、どうぞ。」
規制5というのは恵一の無線のコールサインだ。
現場の警察官からの情報を吸い上げ、整理・総合的に判断し的確な指示を出す、それが署の交通課に立ち上がった交通規制本部である。
「地点Eですが自衛隊が道路を封鎖しており、かなりの渋滞が起きてます。なぜ封鎖する必要があるのか、確認願えませんか?どうぞ。」
しばらく沈黙のあと、
「確認する。若干待機せよ。どうぞ。」
待機か、早くしないと市民達が怒り狂って暴徒化するかもしれない、恵一は不安に感じた。




