会議
署内に入った恵一達は、慌ただしく駆け回る職員を横目に交通課の部屋に入った。
交通課の部屋は元は一つの部屋だが、取り締まりを専門とする交通第一課、事故や交通事件を捜査を主とする交通第二課の二つをロッカーやキャビネットで壁を隔てて仕切っていた。
しかしこの日は違った。
一課と二課を隔てていたロッカーやキャビネットが移動して一つの部屋となっていた。
そしてセンターにはどこから持ってきたのかホワイトボードが二つ設置されており、刑事ドラマで見る捜査本部のような状態になっていた。
「影山、北澤、ここに座れ。」
交通一課長の一言に従い、二人は雑に置かれたパイプ椅子に座る。
周りを見ると交通一課二課の職員がごちゃ混ぜで座っており、なんとか間に合わせました感が否めない。
交通課のトップである交通官黒木警視がホワイトボードの前に立って話始めた。
「皆さんお疲れ様です。急に集まってもらって悪かったね。」
黒木警視は、定年間近の優しいおじいちゃんって感じの人だ。
しかし今回はいつも見ないような真剣な顔をしていた。
「みんな無線は聴いてたと思うけど、今管内で傷害事案が多発してる関係で交通課として管内の決められたポイントで交通整理してほしいっていうのが上からの指示なわけさ。」
「傷害事件の話がニュースでやったもんだから、みんなパニックになってそこら中渋滞だらけらしいんだ。」
さっき署の入口にいた男も橋で渋滞が発生しているという話をしていたのを恵一は思い出した。
「ポイントと班分けは決めてあるから書類確認して。しばらく交通整理すれば本部のマル機(機動隊)が来る話になってるからそれまでお願いね。あと拳銃と耐刃防護衣はちゃんとつけて出てね!なにが起きるかわからないから。」
黒木警視はそう言うとすぐに部屋から出て行った。
署長室で幹部会議があるようだ。




