古米を美味しくいただく
令和の米騒動、世には古米どころか古古米や古古古米などが流通し、美味しい不味いの論争が起きている。
私の家は四十年以上もの間、昔ながらの米販売店と契約をしている。
販売店によって販売の仕方は違うと思うが、今の契約は一年契約。一年間で何キログラム買うという申し込みをし、お米が無くなったらキープしているお米を精米して持ってきてもらう。
少々割高なのだが、親が言うには「何かあった時に頼りになるのは小売店」とのことで、子どもの頃からずっと米販売店からお米が届く生活だ。
米騒動というのは、歴史として割と何度か起きている。近代も例にもれずである。
だからだろう、そういう過去の経験から親は主食の米だけは販売店を利用していると勝手に理解している。
前置きはここまで。
そんな米販売店から米を買っているが、老人と初老の女二人暮らし。
一年契約をしていたとしても、米がそう簡単に減らない。二人とも若い時は良かったが、今では食が細くなり、小さな茶碗で一杯食べられたら十分だ。
だから、一年キープしている米はどんどん残り、新米に切り替わるのは「新米」が流通し始めてから半年ほど経過したころだ。
そうなると、本来一年で食べきる新米が古米になる。
年老いた親が自分がお米を炊くというので任せているが、これがまあ炊き立てでも美味しくない。
ただでさえ食が細っているのに、美味しくないから余計に食欲が減る。
家で使っている炊飯窯は一万円もしないくらいの安物で、壊れるまで使うがモットーの我が家でもう十年近く使用している。
美味しくないのは窯が悪いのだろうと、ずっと思っていた。
結論から言おう。「否」だ。
まだ十代の頃から、私は料理番組を見るのが好きだった。料理も嫌いではない。
そんな時に仕入れた情報を実践したら「米が美味すぎてご飯をおかずにご飯が食べれる」のだ。
信じられないが、情報源は三十年近く前のものだ。私はただ、Aと言う料理研究家が言った事とBという料理研究家が言った事を試しただけである。
その方法を教えるので試して見て欲しい。
1)米は浸水が命。乾燥した米を洗う一番最初に使う水で味が変わる。
最初に米を洗う水は浄水された水を使う事。しかも、冷たい方が理想。(説明していたけど何で冷たい方が良いかは忘れた)
2)最初に浄水された水を入れたら、出来る限り丁寧に洗う。ミルク色になるくらいまで洗ったら、一度水を捨てる。
3)水を捨てたら、水を入れないまま米を洗う。洗い方は優しく丁寧に全体を回しながら揉むような感じ。(これも理由があったと思うが、忘れた)
4)丁寧に水なしで洗った米に水を入れ、出た糠を濁りが減るまで何度か洗い流す。(軽く混ぜて少し濁りが残っている程度流す。この時に揉んだりゴシゴシ洗ったりしない)
5)浄水された水でご飯を炊く
信じられないだろうが、これだけだ。
冷たくて美味しい水を最初の浸水に使うだけで大きく違う。
自分で炊いてあまりの違いに驚いてご飯を3.杯お代わりした。白飯だけで白飯食べれるって本当だったんだと実感し、更にそのあと余ったご飯をおにぎりにしたら、夜に炊いたのに寝るまでの間に半分減った。
しかも、この炊き方をしたご飯は、冷えても美味しい。
タッパーに入れてチンしただけなのに炊いた時のような香りが立つ。お米の甘みがふんわりと鼻孔をくすぐるので、幸せな気持ちになる。ちなみにおにぎりは冷めても美味しかった。
もしかしたら、私のお米の洗い方や水加減が良いからかもしれないと思って、いつも親が洗っている通りに水道水で洗って水道水で炊いたところ……うん、普通。普通に美味しいけどお代わりするほどじゃない。
昔からある知恵や知識は、バカに出来ないものだなと改めて感じた。