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第九話  魔術講義②

説明回続きます

第九話





「そうだね!それではお嬢様も“解放”やってみようか!」



そう言ってケイオンは僕の時と同じように背中に手を当てる。




「これは…なるほどねぇ」


「君、ちょっとガイウス様を呼んできてくれる?」



困惑しながらも、部屋に控えていたミリアさんにその旨を伝える。

ガイウス様を待っている間、理由を説明してくれた。


「お嬢様は魔力が極端に多い。今少し視ただけでわかったよ。聞いてはいたけど、これは想定外。鍛えてもいないのにこの量は聞いたことがないかな」


「でもまあ安心して。そのために僕が先生に呼ばれたのだろうねえ。僕は実験とかたくさんしてきたから、魔力を操るのが他の人よりずっと上手いんだ。だからお嬢様が“解放”を行う際に手助けができると思う。まあ、違和感はすごいだろうけどね」


「ただ万全を期したいから、ガイウス様を呼んでもらった。もし魔力をうまく抑えられなくなっても、外部からより強力な魔力で蓋をしてしまえば暴走は収まる。ガイウス様は適任さ。魔法使いで戦士だから、普通の人より魔力が桁違いに多いし操作もうまい。少しの間ならお嬢様を上回ることも十分可能さ」



だから安心していいよとケイオンは笑っているが、お嬢様の顔は一層険しくなってしまった。




ほどなくしてガイウス様がやってきた。ケイオンが事情を説明し、仰々しい様相を呈してきた。


「では開始します。お嬢様、ガイウス様と僕が付いていますからね。安心です。できる限りリックスしていきましょう」



お嬢様は何度か深呼吸をした後、お願いします、とつぶやいた。


ケイオンが魔力を流し始めているのだろうか。先ほど魔力を“纏った”時には魔力が見えていたのだが、今は全くわからない。

ほどなくして、お嬢様が苦しみ始める。


「くううう…」


そして叫びだした。



「ぁぁぁあああああああああ!!!!」



尋常な様子ではない。僕の時と同じように、魔力が一気に“解放”したのだろう。そして気が付く。魔力が…視える!!光の奔流がお嬢様から立ち上っている様子がはっきりと認識できる。これはどういうことなのだろうと思っていると、ケイオンが厳しい声音で言った。


「ガイウス様!!」


ガイウス様がお嬢様に手をあて魔力を放出する。ガイウス様の魔力も視認できる!黄色の輝きだ。そしてなんだかすごい圧力を感じる。圧倒されて息がうまくできないくらいだ。



少しずつお嬢様の魔力の奔流は小さくなり、やがて見えなくなった。

皆がようやく一息つく。お嬢様は酷く疲れきっていて、しばらく言葉を発することも出来なさそうだ。


ひとまずは成功したらしいが、とても授業を続けられる様子ではなかったため、この日はこれでお開きとなった。




それからというもの、お嬢様は明確に調子を崩していた。得意な音楽の授業でさえ、簡単なミスを連発していて、精彩を欠いている。


魔術の授業では、座学はほどほどに、実技に重きを置くとのことで現在は触媒を自作している。


「いいかい。魔術とは古来、長ったらしい詠唱や複雑怪奇な儀式によって顕現されてきたんだ。それを体系化し、より実用化したのが触媒を用いた魔術だよ」


「魔術触媒とは、宝石や金属といった物質に、本来の長ったらしい詠唱と同様の意味が込められた刻印を刻むことによって完成する。刻印の二次元的、三次元的な組み合わせによって魔術の効果を定めるんだ」


「別に宝石や金属でなくても魔術は発動するけど、その場合の触媒は一度きりの使い捨てだね」


「刻印を刻んだ触媒に魔力を流しながら、定めた言葉を唱えることで魔術は発動する。これは知ってたかな」


「さあ早速やってみよう!刻印を刻むときは、彫刻刀に魔力を“纏わせ”ながらやるのさ」


「刻印を覚えられて、魔力操作の修練にもなって、触媒も出来る!お得だね!さあ、じゃあ着火の魔術触媒でも作ってみようか!」



これがとてつもなく難しい。まず彫刻刀に魔力を“纏わせる”のが出来ない。魔力で覆ってもすぐ霧散してしまう。そしてお嬢様はさらにひどい。魔力を少しでも彫刻刀に込めようとすると、彫刻刀が爆散した。

ケイオンは何度か失明するところだった。







今日も日課である剣の修練を行う。冬もすっかり深まって、雪もちらつくけれど関係はない。毎日欠かさずするのが肝要なのだと教わった。



魔力の扱いを覚えてからは、型稽古の際に“纏い”を実施するようにしている。“纏い”は基礎にして奥義。そのケイオンの言葉には深く納得できる。まだ長時間はできないけれど、少しずつ持続時間を長くする。



 剣を振る際の、足から腰、型からひじ、手首から剣先まで、型の動きと魔力の動きを同調させるイメージ。まだ魔力はゆっくりとしか流動しないけれど、これが身体操作に追いついたら、少しは父に近付くことが出来ると、漠然と感じていた。



一段落したら、シャドートレーニングではなく、最近はもっぱら“解放”の限界に挑戦している。魔力は鍛えれば鍛えるほど質も量も向上するらしいから、ぎりぎりまで“解放”を行い、超回復を促すのが目的だ。それに、これを限界までやると深い眠りにつくことが出来るのも大きな魅力だ。

ちなみに、現在の最高記録は5秒。まだまだ先は長い。



さて、今日は7秒間は続けてみせると気合を入れると、とても珍しい訪問者が現れた。




リーシャ・フォン・ローゼンお嬢様である。



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