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第4話  救援部隊

遅れました。少し短いです

第四話




 ガチャガチャと鎧が揺れる音を鳴らしながら、騎馬の集団が街道を駆けていく。

かなりの速度で走っているにもかかわらず、一塊となって駆けていくその姿は、相当な練度をうかがわせた。



 しばらく進み少し開けた場所に着くと、斥候の帰りを待つため小休止を取る。

集団の中でひと際見事な鎧を身にまとった偉丈夫が、その鷹のような目で周囲を見渡す。


静かすぎる。あの男が緊急の連絡を寄こしたのだ。どうにも嫌な予感がする




 普段はその立場故、ほとんど連絡も寄こさないザルツ村の村長から緊急の魔道具を通じて砦に知らせがあったのが数刻前。魔物の動きが活発化していたため、ちょうど砦に視察に来ていたローゼン領主ガイウスの耳にもその報はすぐに入る。胸騒ぎがしたために、自らが救援の部隊を率いて出陣していた。




「ガイウス様、斥候が戻ったようです」


筆頭騎士ハウエルが言う。


「通せ。直接報告を聞く」


斥候の兵士はすぐにガイウスの前に来て、敬礼しながら状況を説明した。


「報告いたします。村は複数の魔物が襲撃したとみられ、火の手が上がっております。現在目立った戦闘の様子はなく、急ぎ戻りました」


ひとつうなずきねぎらった後、大声で指示を出す。


「最大戦速にて村へ向かう!到着後は小隊単位で村を捜索し、生存者を探せ!複数の魔物と接敵した場合は信号弾を打ち上げよ!出撃!」







 村は酷い有様だった。少し見ただけでも魔物の死体は二十を下らない。

厳しい訓練を経た騎士で一対一、兵士だと三人がかりでようやく倒せる魔物がゴロゴロと倒れている。

ガイウスの背を冷や汗が流れた。同時に、これほどの危機に迎え撃ったあの男たちにおしみない賞賛の念が沸く。


「ガイウス様、こちらへ」




 騎士ハウエルに促された場所には、あの男の亡骸と、その上に覆いかぶさるように少年が倒れていた。

二人の顔立ちはよく似ている。息子だろうか。仰向けに寝かせてやろうと少年に手をかけた時、違和感を覚えた。


「この少年を運べ!まだ生きている!」




 慌ただしく数人の兵士が駆け寄り、毛布に包んで少年を運んでいく。

それを見届けながら改めて周囲を見渡すと、壮絶な戦闘跡と、異様な化け物の死体に目が行った。




「こいつは・・・なんだ?」


「牛の頭に鬼のような身体。まるで伝説上の怪物のようですな。それとこの焼けただれている狼の魔物も、変異個体のようです。大きすぎる」




何かが起きている。大きな不安が胸に押し寄せるが、今はすべきことがある。

どうやら魔物の影はすでに無いようだ。



「探索を継続し、魔物は処理した後まとめておけ。調査団を派遣する。村人の遺体も一か所にまとめて供養する。墓は俺がつくるから、遺体を最優先にしろ」


兵士に指示を出しながら、ハウエルを手招き呼び寄せる。


「俺は村人を供養した後館に戻る。この少年を連れて帰らねばならん」


「お前はこの場に残り、全体の指揮をとれ。一連の調査を頼む。深追いはするなよ」




敬礼をしたハウエルが踵を返した後、周囲に悟られないよう少し息を吐く。


目をつむる。この地にて勇敢に立ち向かった英雄たちに精一杯の感謝をこめ、黙祷した。



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