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君の傷つけ方なら知っている  作者: 三愛 紫月
結婚生活なら知っている
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亮の話③

「葉月、お腹痛いの?」


「大丈夫」


「薬飲むだろ?」


「いらない」


「なー、葉月」


振り向かせた瞬間、涙がボトボトって目から流れ落ちた。


葉月は、しゃくりが出ないようにしてる。


「葉月、しようか?」


葉月の涙も拭わずに、俺は葉月にそう言った。


「私の卵子腐ってるよ」


胸が締め付けられるのに、ごめんねって言えなかった。


「わかんないだろ?やってみなきゃ」


「私の卵子、老化してるよ」


「わかんないだろ?やらなきゃさ」


俺は、そう言って笑った。


「葉月、だからしよう」


「私を抱いても赤ちゃん出来ないよ」


俺は、酷い言葉を葉月に言わせてる。


「わかんないだろ?葉月。やってみなきゃ」


「わかるよ!結婚してからずっと避妊してないんだから…」


「わかんないって、今日排卵日って可能性あるだろ?」


「私としても赤ちゃん出来ないよ。それでもいいの?」


何て酷い言葉を俺は、言わせているんだろうか…。


「葉月、危険日だよ。きっと…」


そう言って、俺は泣いてる葉月を抱いたんだ。


いつもは、終わったら俺に抱きついてくれるはずの葉月は、トイレと言って立ち上がってしまった。


暫くして、戻ってきた。


石鹸の匂いがした。


「葉月」


「流した。明日仕事だから」


「何で?何で、そんな事するんだよ」


「大丈夫だよ!精子は流したって到達してるよ。私の卵子が腐ってなければ」


そう言って、葉月は眠ったんだ。


それから、二週間が経った。


「生理予定日過ぎてるから、検査薬しとくね」


「妊娠か?」


葉月は、検査薬をした。


「どうだった?」


「真っ白だよ」


そう言って、俯いていた。


そうだ、俺。


葉月に酷いこといったんだ。


「排卵チェッカー?」


「排卵日がわかるんだって」


「へぇー」


葉月は、排卵チェッカーを使ってた。


「なぁ、これって白いままなの?」


トイレに毎回置かれてる排卵チェッカーは、一度も線がつかなかった。


「もしかしたら、排卵してないのかな」


不安でいっぱいの葉月に…。


「排卵してなかったら生理こないんだろ?それで、きてんなら、葉月の体って無駄遣いだな」


俺は、何て酷いことを言ったんだろうか?


「本当だね!無駄遣いだよね」


葉月は、泣いてたと思う。


葉月は、結構生理が重いタイプだった。


昔に行った、産婦人科で排卵がしたりしなかったりしてるのではないかと言われたようだった。


入籍する前に、子供が出来なくてもいいのと聞かれて…。


俺は、それでも構わないって答えたはずなのに…。


酷い人間だな、俺は…。


今さら、思い出してどうなるんだよ。


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