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元家族襲来。

トントントン・・・

部屋の扉をノックする音が響く


「うー、なあに、こんな朝早くから・・・」


閉め切ったカーテンから漏れる光、早朝寝たばかりで2時間も経っていないだろう

基本的に昼夜逆転の私にとってこの時間はスヤスヤ睡眠時間なのに・・・


近くに掛けてある王室付きの薬師のローブを羽織り応対する


「はい、なんでしょうか・・・」


「おはようございます、すいませんこんな時間に・・・」


「うあ、いえ・・・」


ノックしていたのは何回か顔を合わせた侍女だった、私に接する機会のある人は皆知っている。

陽の光に弱く、昼は外に出ない事を。

つまりこの時間に起こすと言う事は何かイレギュラーな出来事があったという事だ。


「ロウエル伯爵と伯爵夫人が・・・」


「あーーー・・・」


来たかぁ、やだなー会いたくない。

こっちの心情を慮ったのか、侍女さんの目は同情的な輝きを宿していた。


「来ているのは伯爵と伯爵夫人だけですか?」


「はい、お二人だけです」


「用件って何か聞いてます?」


「いえ、ただ呼び出せとしか・・・」


「分かりました、わざわざありがとうございます」


「いいえ、菊の間に通していますので、では」


侍女さんはそそくさと立ち去った

まあ社交界で悪名高いロウエル伯爵と伯爵夫人なんて関わりたくないよね。


6年前に見た目が不気味だって理由だけで娘を家から追い出す人間なんて社交界では爪弾き物だよ。


本人達は気付いていないらしいけど

アルスロット様とマリーアの話によれば伯爵夫婦はいい笑いもの

今年20歳の兄はそんな両親の風評の悪さのせいで婚約者も決まらない、妹は今年15歳でデビュタントだけど、まあ似た様な状況になるのは目に見えている。

まだ嫁入りだから兄よりはマシかもしれないけど・・・



私を追い出すにしても病気療養にして田舎に押し込めるとか

修道院に入れてしまうとか

いくらでも無難な方法と理由はあったのに、よりにもよって王宮の侍女として奉公に出した。

普通に侍女としてお城に預けて飼い殺しにでもしたら良かったのに、城入りする直前で貴族籍を抜いた。

元両親、元兄妹は散々私の事を気持ち悪いと言っていたから余程の思いだったんだろうね。


庶民になった私は後ろ盾も紹介状も無く

侍女としてお城には入れず、かと言って他に行く所も無いから下女の洗濯婦としてお城に入った。


有り得ないよね、伯爵家令嬢が下女なんて

その時には前世を思い出していたから下働きは苦じゃないけど、それは私の中での話。

外から見たらどう見られているか、その配慮を()両親は怠ったのだ。


いくら日陰者として夜働いていたと言っても

肌は真っ白、目は真っ赤な容姿の人間なんて特定は簡単

こうして公然の秘密、伯爵夫婦は悪名を手に入れたのだった。



さて、ここに来てあの人達が追放処分した私に接触してくる理由なんて透けて見える。

真っ白白な女がどうやら王妃様の覚えが目出度い

しかも何やら恩を売ったようだとなれば・・・




「おお、ルシエル久し振りだな」

「ええ、ええ、立派になって!」


なんて白々しい恥知らずだろう

久し振り? 放逐してそれきりのくせに

立派? 今の私が立派と言うなら、少なくとも貴方達のおかげなんて欠片も有りませんが?

着替えて薬師のローブを羽織り、フードは目深に被ったまま

顔を合わせるつもりはない、目も見たくない

私の心はドンドン冷えて行く


そして次の言葉で完全に凍り付いた。



「さあさあ、ウチに帰ろう」



はあ?



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