雇用。
「宜しくね、エルシー!」
「よ、よろしく、マリーア」
私は王室付きの薬師見習いになってしまった
表向きはマリーアの小間使い
実際は通常の雇用形態だ
石鹸やらハンドクリームを献上した実績があったので
技術と知識に関しては問題無かったけど
私は庶民、元伯爵令嬢と言っても今は庶民の人間を即日王室付きでは角が立つ
お給金は金貨5枚
洗濯婦の時は銀貨1枚だったので、一気に50倍になった
しかもどうやら洗濯婦の時の給金がくすねられていたらしく、女官長はクビに。
居るか居ないか分からない私のお金ならバレない
更に勤務初日にして王妃様に助けられた私を逆恨みしていた犯行だとか、馬鹿馬鹿しい・・・
6年分の差額とクビになった女官長の退職金に充てられるお金を慰謝料として渡された
その額なんと金貨250枚、大金過ぎて苦笑いするしかない。
庶民の私が大金を持っていても色々と恐ろしいので
城の金庫番、財務の方に預かって貰っている
部屋も移動、城の隅の隅から薬草園近くの影の陰になった
とは言え、国家公務員待遇なので部屋は元の広さの3倍
日当たりが良いと困るので最高の部屋を宛がってもらった。
勤務は自由変動制、つまり夜勤務のまま
素晴らしい・・・
銀貨1枚で月ギリギリの生活をしていた私はボロボロの服しかない
それを聞いた王妃様はこれでもかと言わんばかりに大盤振る舞い
ドレスにワンピースやスカート、ブラウス、下着、アクセサリー、靴を準備しようとした
慌てて止める
ドレスは庶民なので着る機会が無い
ワンピース等は10着以上贈ろうとしていたので数着だけ
下着は有難く。
アクセサリーは普段使い出来る髪留めとリボン、その他を少々。
靴は2足を戴くところまで減らした。
私頑張ったよ!
いくら何でも過剰過ぎるし、だからと言って全部固辞しては王妃様の顔が立たない
バランスを見極め、失礼にならない程度に・・・
でも王妃様の指示で動かれた結果、全部オーダーメイド品になった。
王妃様からの恩賞を既製品にしてしまうとそれこそ面目丸潰れになるのでそこは口出し出来ない。
うーん、シンデレラストーリーってこういうのを言うんだろうなぁ
初めて全身採寸なんてされたよ、伯爵家に居た時は既製品
しかもつるしのままの服だったし
しかしまあ王妃様にあそこまで気に入られるのも分からない
そこまでの事をしたかと聞かれればそうじゃないと思う
どう考えても平民に対しての報酬じゃない
「なんて考えてるんじゃない?エルシー」
「人の心を読まないでマリーア、それに貴女こそ何故素直に私の名前を出しているの・・・」
「簡単よ、王妃様の身の回り、姫様の身の回りの事だもの、下手に嘘ついたらクビが飛ぶし、他人の薬の知識を横取りなんてしたら後が怖いわ」
「まあ、ね、でも恩賞は多過ぎない?」
「何言ってるのよ、姫様の命を間接的に助けたし、お肌のケアも、ハンドクリームなんて特に手の荒れやすい侍女達には大好評。
そんなエルシーを洗濯婦のままなんて国の損失だし、城で有能な者を遊ばせてるなんて無能と侮られるだけだもの」
「あー、面子ね」
「そ!それにね最初はエルシーを王妃様付きの侍女にするなんて話も上がっていたのよ?」
「ええっ!?」
「王妃様がとてもエルシーの事を気に入ってらしてね、友人としてどんな人間なのか呼ばれて聞かれたんだから」
「という事は・・・、私が薬師見習いになったのは」
「私が口添えしたからよ、感謝しなさい?」
「ハハー!マリーア様ありがとうございます!」
「ふふん、苦しゅうない!」
と、ふざけあい、クスクス2人で笑い合う。
流石に王妃様付きの侍女なんてマナーも淑女教育も中途半端な私には無理だ、マリーアありがとう。
主人公はルシエルなので、あだ名はエルシー、リュシー、ルーシィ、エル、ルー、等々になります。




