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王妃様

真っ昼間に部屋の外を歩くとなると陽射しが問題となる。

見苦しくない程度に、でも念入りにクリームを塗り込んで

帽子は流石に無理か・・・

厚めのヴェールに日傘で行こう、直前にヴェールを外せばいけるかな。

身嗜みも出来る限り整えておこうかなぁ


コンコンコン


「はい?」


扉を開けると外には侍女2人が居た

こんな城の僻地に何故?


「初めまして侍女のエマです、王妃様から仰せつかって参りました」


なんと王妃様から侍女が派遣されて来た

何が起こってるんだろうか。

困惑する私を余所に侍女は湯桶にタオル、香油やらなんやら沢山持ち込んで来た。


「ルシエル様は肌が繊細との事ですが、こちら使用しても?」


「あ、大丈夫です、コレとコレ以外なら・・・」


「かしこまりました」


髪をお湯で、しかも人の手を借りてなんていつぶりだろう

小さい頃、5、6歳位の時までは侍女がやっていたっけ?

その頃を考えると12.3年振りか・・・


1度ワンピースを脱いでヴェールも外す

薄暗い部屋の中、侍女2人が息を呑む様子が伝わる

ごめんね、見苦しいよね。

でも流石は王妃様付きの侍女、立ち直ったのか直ぐにお手入れをしてくれた。


チャプ チャプ・・・

水音しかしない薄暗い状況に気まずかったのか侍女が話しかけて来た。


「御髪もお肌も綺麗ですね」


「お世辞を言わなくても良いですよ、自分の事は分かってますから」


「お世辞などでは・・・」


「ふふ、ありがとうございます」


いい人達だなあ、王妃様の指示とはいえ

たかだか元令嬢の洗濯婦にこの物腰

王妃様付きともなれば高位貴族の令嬢だ

見下す態度も無く、教育の差かなあ?


あっという間に身嗜みを整えられてしまった

毛先も切り揃えられて、なんと髪を留めるバレッタも王妃様から下賜された物が!

更には・・・


「外を歩く時は此方をお使い下さい」


侍女が取り出したのは透き通っていて、しかし薄暗い部屋の中でも美しく輝くヴェール。

サイズは大きく頭から被っても上半身を覆えるような物だ、絶対高い!


「こ、これは?」


「王妃様からの贈り物になります、隣国の姫様にもルシエル様のような方が居りまして、陽の下を歩けない事を嘆かわしく思った兄殿下が作らせた物と聞いております。

陽の光は通しますが肌には影響が無い特別な品と」


という事は、隣国のお姫様もアルビノで

これは陽の光、紫外線を通さない特別なヴェールとなる。


「そのような物、お借りする訳には・・・

手持ちのヴェールも有りますし、部屋までは日傘を差して行けば・・・」


「いえ、貸与品では無く、此方のヴェールは王妃様からの贈り物となります、どうか・・・」


「ええっ!?」


ワンピースは貰い物、まだいい。

着飾る為に侍女が派遣される、まだわかる。

バレッタなどの小物類の下賜、畏れ多いけどまあいい。

いや本当は良くないけどね!

だって王妃様の下賜品なんて超一流品だよ

国の淑女の頂点に立つ御方の物だ、極上品。

下はあっても、これより上の物は無い物、この時点でいっぱいいっぱいだよ。

しかも他国からの献上品、嘘でしょ!?


「あのう・・・、エマ様」


「エマで構いませんよ、ルシエル様


「あ、いや、私は庶民ですから」


「元、伯爵家出身とお聞きしております、私の出身は子爵家ですから」


「元です、元、それよりどういう事ですか、この対応」


「申し訳ございません、その答えを私達は持ち合わせておりません」


となると王妃様に会って確かめるしかない

自分の身に何が起こっているのか分からない私は

言われるままヴェールを受け取った。

考えが纏まらない内にアルスロット様が迎えに来たのだった。






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