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舞踏会

王子王女殿下のお傍に侍るからには勿論正装だ、庶民の私がドレスなど持っているはずも無く、王妃様が待ってましたとばかりに用意していた。

幼い姫様をお助けした褒賞の際にあれやこれやと手配を掛けられ、採寸したサイズを元に作らせていたドレスだと言う、もうあの時から全ては始まっていたのね、と私は何もかもを受け入れることにした。


「・・・うーん、居づらい」


隣国の殿下方は旅装から着替えて謁見、謁見からパーティー用の盛装に着替える為に私は先に会場へ入って控えていたが、あちらこちらから注がれる視線に落ち着かなかった。


「いいから胸張って居なさいよ、パートナーは居ないけど、折角のデビューでしょ?」


「ま、ね」


隣には薬師仲間のマリーア、彼女は珍しくドレスを身にまとい参加していた、王妃様が不馴れな私を見兼ねて仲の良いマリーアに命じたのだ、腐っても(失礼)れっきとした令嬢のマリーアはドレスを着こなし慣れた様子で頼もしい。

私は社交界にデビューする前に貴族籍を抜かれている為、今回の参加が正しくデビュタントとなるので、お決まりの白いドレスに薔薇の生花を胸に添えていた。

私なんかが、と言うのは御法度、何故なら同じアルビノの隣国の王女殿下が居るから。


私が散々言われてきた『血の気の無い肌』も『純白の穢れなき雪肌』になるし、『血のような気味の悪い瞳』も『宝玉と見紛う美しき瞳』との称賛へと変わるのだ。


「ちょっと! なんでアンタなんかがこの場に居るの!?」


それなりの事情通なら私の立ち位置は誰でも知っている、王妃様の肝入りドレスに殿下の接待役の1人、そんな私に大きな声で咎める台詞が会場に響き注目を集めた。

声を掛けて来たのは()()()()の2人、声を荒らげたのは妹の方だった、嗚呼・・・


「庶民がどんな手を使って潜り込んできたのか、ああおぞましい」


扇子で口許を隠してそう言ったのは元母だ、私としては前世の記憶を持って生まれてきたせいかここまで嫌われているのは逆に有難かった。

異端のアルビノ出産は彼女にとって人生の汚点だと屋敷に居た頃にヒステリックに叫んでいたのを聴いていたからだ。


「聞いているの!?黙っていないで何とか言いなさいよ」


元妹の方も元母に似た顔でヒステリックに叫んだ、少しは取り繕っていた方が良いのでは?

幼い頃から虐待気味に育った私は、彼女から見ても身近に見下せる存在だった、しかしこれもまた前世の記憶からして精神年齢が高く、何をしても応えた様子がなく落ち着いていた私に更に腹を立てるという悪循環ですっかり嫌われてしまっていたのだ。

歩み寄ろうにも頭から嫌われた私の言葉が彼女に届く事はなく、関係改善出来ないままに私は家から放逐されてしまったので、彼女にとって私は『下』のままなのだろう。


そんな私が着飾ってパーティーに参加しているのは彼女の心境が如何ばかりか想像は難くない。








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