学校②
遅くなりました。また新キャラ増えて、意外と大変。まだ設定が曖昧なところがありますが、後々なんとかします
教室を後にした俺は、一人屋上へ向かう。
屋上はもともと人が来ない場所で、バイトで時間がない俺は、そこで娯楽の時間を過ごすこともある。だが、今回は娯楽のためではない。俺は屋上に来ると、スマホを取り出し、ある人の電話番号にかけた。
(今の時間は、ちょうど昼ごはんを食べている頃だろうから、出てくれるはずだ。)
数回コールがなると、すぐに相手から声が聞こえた。
『もしもし?なんだこんな時間に。てか、学校だろ?』
「どうも真也さん。今はちょっと話しておきたいことがありまして。」
彼は、鈴原真也。警察官で、昔にあることがきっかけで知り合いになった。休憩でありながら、こんな風に時間を割いてくれるとても優しい人だ。
『ごめんな。実は、今行方不明の調査をしていてな。』
「行方不明?詳しく教えてくれませんか?」
『特に秘密じゃないし、少しはいいかな?
実は、この街の有名な金持ちの家の子が
昨日からいなくなったんだ。』
(昨日...か。いや、まてよ?もしかしたら。)
「その夫婦の苗字って、雨空ですか?」
すると、真也さんは意外ように言った。
『なんだ知ってたのか?』
(少しは、こっちに協力させられるかもしれないな)
そう思い、俺は正直に答えていく。
「実は、俺もそれに関わってくる要件です。」
『なんだって!?』
流石に、これには真也さんも驚いていた。
『できれば詳しいことを教えてくれないか?』
先ほどと違い、真也さんは真面目なトーンで話してきた。
「わかりました。ですが、ちょっと複雑な問題かもしれません。」
『複雑?』
そして、俺は昨日あったことを説明する。
「実は昨日、そちらの行方不明者と思われる
雨空葵という中学生を保護しました。」
『まじか!?でも、なぜすぐに警察にこなかった。』
「はじめはそれも考えました。ですが、昨日は雪が降る中、一人薄着で外に居たので、暖を取ることを優先しました。しかし、その時の彼女は、怯えていたんです。まるで人自体が怖いみたいに。」
『人が怖い?知らない人だからじゃないのか?』
「あの時の怯え方はそんな優しいものじゃなかった。まるで、命の危険から逃げるような。」
そこまで聞くと流石に謎に思ったのか、真也さんは難しそうに言った。
『なんだ?じゃあ、わざと行方不明になったってことか?』
「はい、それに、警察にこなかった理由がまだあって、家に返されるからです。」
『たしかに、逃げてきたのにまた返されるのは意味ないからな。それで、逃げた理由は?』
「...虐待。だと思います。」
その答えに、少しの沈黙が生まれる。
しかし、真也さんの方からさらに質問を飛ばしてきた。
「そこまでいうのは、何か証拠があるのか?」
「あります。体に複数の傷を確認しました。」
そこから、俺はある一つの提案をする。
「なので、彼女のことはしばらくこちらで保護させてもらえませんか?さらに、彼女のケアの方もさせていただければ。」
この提案に、真也さんは黙って考えていた。
そして、決断したのか、こう言った。
『とりあえず、今はそこに保護してもらって構わない。ケアも、そっちでやってほしい。だがな、状況が動く時には、引き渡してもらう。いいな?』
「了解です。また、詳しいことは後日わかったらお願いします。」
『おう、じゃあな。こっちも、上に話をつけてくる。』
そこまで言うと、俺は通話を切った。
(さて、とりあえず協力は取り付けた。これからはあっちが動くまでは葵の方に専念しよう。)
これからの方針を決めたところで、俺は教室に戻っていった。
教室に戻ると、華凛と湊がもう半分ぐらいご飯を食べていた。
「おう、遅かったな。そろそろ食べ終わるぞ?」
「まじかよ。待ってろ、急いで追いつくからな!」
華凛からの弁当箱をあけ、いただきます!と言うと、勢いよく食べていく。
「そんな急がなくても別にいいのに。それよりも、何しにいったの?」
そう華凛が心配そうにして言う。
「華凛。さっきも奏が言ってただろ?それについてはあまり触れられたくないようだから、やめとこうぜ」
湊は、俺の問題のことを触れないようにしようと言ってくれた。正直言ってその気遣いは本当にありがたい。しかし、華凛はさらに心配そうにする。
「だって、もし危ないことだったらどうするの?前みたいななったらどうするの?」
「大丈夫だろ。あの時とはもう違うし、自分の限界もわかる。だからそこまで心配しなくてもいいさ。な?」
「...わかった」
湊の説得に、しぶしぶ了承する華凛。
湊は、何も言わずとも俺に協力してくれるところがもう最強。やだいい男。もらいちゃいたいぐらい。
そこから、湊が場の雰囲気を楽しくしてくれて、また何気ない楽しい雰囲気で時間を過ごした。
わかりにくいところなどあれば、コメントなどしていただけるとありがたいです。