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イミテーションミュートス  作者: 安東秀一
1/9

記憶

「行きなさい、ベノラ!!」

「行け、ベノラ!!」

「「悔いのない冒険を突き進め!!」」


「・・・うわぁぁぁ!!!」

 目覚めの悪いものを見た。今見た夢が何なのかはわからない。、そして誰なのかはわからない、とても大事な存在だったはずだ。

でも、思い出せない。思い出せないけど、それは大事な存在なんだと思ってしまった。

そう考えているうちに気づいてしまったのだ、自分は誰なのかと。



誰なのか、そんな大事であろうことも忘れてしまっているようだ。

「・・・私は誰なんだ」

ふと、周りを見るとまるで真っ白な空間にいるのだと気づいた。

にしても白すぎる。白すぎて清潔どころか、汚れなんてものが一切感じられなかった。

だけど私は妙にそれが居心地がよく感じられた。

何故だろうか?ここはもしかしたら私の家なのかもしれない。

・・・と考えるのは時期尚早だろう。だが、今は便宜上ここは私の家なのだと思うことにする。


と、考えるのは後にして今はここが何処なのか、探索をしたい。そう私は自分の中の好奇心にあてられて、考えを放棄した。


 私はベッドから降り、出て目の前の扉に行くと、その扉は自動に開いた。だけど私はそれに別段驚くこともなく前に進んだ。私はこの場所を知っているのかもしれない。

現在、私は記憶がない。自分のことすら覚えていない。

そんな状況にも関わらず、私は興奮していた。記憶がない、いわば無知の状態。分からないのなら知ればいいだけ。ふふっ、とても楽しみだ。その思いを胸に乗せ行動を開始した。


色々探索しているうちに、気づくと家族部屋と書かれていた部屋の前に来ていた。早速中に入ることにした。もちろんこの扉も自動に開く。

入るとすぐに感じたのだが、なんだかとても居心地がいい。別段何か変わった空間ではない、部屋の真ん中に一つ大きな楕円形の机がありその向こうに画面を映す大きなモニターがあった。

その他にも様々な家具もあるが、実にシンプルな空間である。だけど、私はこの部屋を見てとても安心を得られたのだ。


そして確信したのだ、やはりここは私の家なのだと。

ふと、近くに飾ってあった写真立てに目が入った。気になり中を覗いてみた。その写真には人が三人写っていた。この中で一番小さき者こそが私なのだろう。先程、鏡が置いてある部屋に入ったのだがそこに写っていた何も身にまとっていない小さき者がこの写真にいる人物、まぁつまり私だ。写真にいるものは身にまとってはいるが。そしてこの三人は仲睦まじく写っている。

つまりこれは・・・・・・どういうことなのだろう?

写真にあるこの2人と私の関係性はなんなのだろう?

そう考えているとある単語が浮かんできた。それは、「家族」だ。その浮かんだ単語がどういう意味なのかは分からない。だけど妙にしっくりきた。

そして、この単語が浮かぶくらいなのだから大事なのだろう。覚えておこう。


そういえば、夢に出てきた二人は誰かをベノラと呼んでいたが、もしかしたら私のことなのだろうか?私が見た夢なのだからきっとそうなのだろう。

と、思いたいがそれはさすがに時期尚早だろう。

とはいえ、この家には私のことが分かるようなものは無いような気もする。

なので家の外に出てみようと思う。

「自分探しの旅だ!」

そう言って私はこの家から出たのだった。

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