第八話
武術と魔法の練習はきっちりとしている。武術の練習はこの間習った『空脚』の練習を中心として、型の練習などもしている。
魔法のほうは普通に使って動くだけでなく、制御して足だけを強化することが出来るようになってきた。これによって移動だけに身体能力強化を使うことが出来そうだ。
よし、徐々に成長してきているな。成長を実感できると嬉しい。
Bランクのクエストも特に苦戦することは今のところない。
今日は黒狼と呼ばれる黒い大型の狼のような魔物を討伐するクエストを受けようと思う。
さっそくギルドに行ってクエストボードを見た。
黒狼三体の討伐。報奨金5万ティア。
受付に依頼書を持っていきクエストを受けた。
黒狼は普通、群れで行動するものだが三体はぐれの黒狼が街の付近に住み着いたらしい。
黒狼は弱い魔物と比べるとそれなりに危険なので早急に狩る必要があるらしい。
とりあえず、黒狼が住み着いているあたりに行ってみる。
居た。確かに結構大きくて迫力がある。見た目は結構強そうだ。
戦闘を開始する前に、足に強化魔法をかける。強さは3割程度。
よし、準備もできたし先制攻撃だ!
俺は、空脚を使って背後から敵に一気に近づいた。
空脚は音がしないため、敵は一切気づいていない。
よし、もらった!
ドゴンッッ!!
不意打ちが綺麗に決まり、さっそく一体倒すことが出来た。
なんだあっけないな。
そう思っていた次の瞬間。
一体の黒狼が凄まじい速さでこっちに飛びかかってきた。
俺は、咄嗟に身を翻すことで何とかその攻撃を避けた。
危なかった。想像以上のスピードだ。油断は禁物だな。
体勢を立て直し、敵に向かい合う。
二体の黒狼は連携を取りながら挟み込むように動いた。
俺は地面を強く踏んで、一気に後方へと跳んだ。
距離をとることに成功し、俺は体全体にも少しだけ身体強化を施した。
確実に仕留めないとやばそうだからな。
黒狼二体はこちらに向かって猛スピードで突進している。
俺は地を蹴って、一体の黒狼の側面に回り込んだ。
そして、そのままの勢いで思いっきり膝蹴りをかました。
鈍い音がして、黒狼はその場に倒れた。
最後の一体の黒狼は俺の動きが見えなかったようで、漸くこちらを発見したようだ。
いつの間にか仲間がやられているのに困惑しているようで、動き出さない。
隙だらけだ!
一気に距離を詰め、黒狼の頭部に拳を叩き込んだ。
最後の一体を倒した。
三体の黒狼を討伐することに成功した。今までの敵と比べるとかなり強敵だった。
今回の戦闘を通して、戦闘中に油断するのはだめだということを、身をもって学んだ。