第六話
スライムを爆発四散させてから、俺は魔法の制御の練習も行っている。
練習を始める前よりはだいぶ制御できるようになってきた。
まあ、相手が強ければ制御は必要ないけど、と思っていたけれど意外と制御は重要みたいだ。
まず、制御できなければ当然暴発するリスクが高くなる。これは、無関係のものを傷つけてしまう危険性がある。やはり制御はとても重要だ。
他にも理由はあって、制御がうまくできるようになれば無駄なく効果を行き渡らせることが出来る為、効果が高まるようだ。さらに練習すれば、拳にだけ集中して強化魔法をかけたりすることもできそうだ。これは楽しみだ。
トレーニングと共にクエストも順調にこなしている。Dランクは特に苦労することなく連続で成功させて、今はCランクに上がっている。CランクはDランクに比べると多少難易度は上がっているがまだ特にきついことはない。
クエスト内容としては、Dランクの時と同じようなモンスターを討伐する目的でも数が増えていたりする。とりあえず、今日はゴブリン20匹の討伐依頼を受けようかな。ゴブリンは小型の醜い人型のモンスターだ。とても弱いモンスターである。クエストの報奨金は15000ティアらしい。
受付にクエストを持っていく。
「これを受けます」
「はい。承りました。お気をつけて」
「はい」
もうこのやり取りにも慣れたものだ。
ゴブリンを討伐するのはこれが初めてではないけれど、ここまで討伐しなければならない数が多いと、一匹ずつ倒すのは少々めんどくさい。
というわけで、何とかたくさんの敵を一気に倒す手段がないか考えた。そして考え付いたのは拳圧で敵を一掃しようというものだった。実行あるのみ、早速やってみよう。
ゴブリン達の住処にやってきた。うわー、マジでたくさんいるな。
さっそく魔法を使って強化を施す。まあ、五割くらいでいいかな。
あー。技名とかどうしよう。何も考えてなかった。うーん……。『必殺パンチ』とかでいいかな。適当すぎるかな?
よし! 技名も取りあえず決まったし、使ってみよう。
思いっきり振りかぶって。
「必殺パーーンチ!!!」
技名を叫ぶと同時に拳を振りぬいた。
ゴオッッ!!!
凄まじい音がして、拳を振りぬいた先の地形が消し飛んだ。ゴブリン達も一緒に。
あまりの威力に呆然とした。かなりの範囲の地形が抉れている。
『必殺パンチ』はまさに必殺パンチだった。使う場所を考えないとダメだな。
ちなみにクエストについては、冒険者カードを見るとゴブリン20匹の討伐は完了していた。
まあ、楽ではあるな。
戦闘力をさらに上げるため最近では、武術も師匠を見つけて教えてもらっている。
なんだが、どんどん魔法使いっぽくなくなってる気がしないでもない……。
いやいやいや魔法使いですから! だって魔法使ってるし。
なんだか言い訳みたいになってきた。