3殺目 憧れの武器と盾と宝箱
「勇者殿!こちらで旅の準備を整えて下され!」
「うおっ!?こりゃすげぇや!」
王様自らの案内により、ガッちゃんは城の倉庫に来ていた。そこに納められた数々の装備を見て、彼は驚きの声を上げる。
長剣はもちろん、短剣、槍、弓、斧、鎚、エトセトラエトセトラ・・・もちろん盾や鎧も選り取り見取りだ。
男の子なら一度は憧れる武器や盾を目の前にして、ガッちゃんの鼻の穴が広がって空気が勢いよく噴出する。
「ここの武器は兵士達の装備の予備ではありますが、旅の始めに持つものとしては優秀なものばかりでありますぞ!」
「凄い・・・。ありがとうございます!大切に使わせていただきます!」
一通り説明した王様に対して、ガッちゃんは学生らしく彼に礼を言う。そして、装備を選択し始めた。
「剣は召喚されたときに現れたから、戦闘以外でも色々使える短剣がいいかな?それとも、遠距離でも戦えるように弓・・・いや、鞭も捨てがたい・・・」
夢ひろがりんぐなガッちゃんは、自分が戦う姿を想像している。そのとき、素朴な疑問が浮かび上がった。
「そういえば、装備や道具を入れる袋はどんなものなんですか?いくら物を持っていても、重くて動けなくなるなら意味が無いですし。」
「ん?勇者殿の世界にはアイテムボックスは無いのですかな?」
「アイテムボックス?」
質問すると、王様の口から新しい単語が飛び出してきて、ハルキはそれを疑問符をつけて聞き返す。
「では、そこを含めて色々説明させて頂きますぞ。」
王様の説明タイムが始まる。
---王様説明中・・・
「分かりましたかな?」
「なるほど。では確認させて頂きますね。まず、アイテムボックスは物を別の空間にしまうことができる基本技で、レベルが上がる度に容量は増えていく。」
「合ってますぞ。」
「そしてステータス確認は、自身の能力を簡易的に数値で見ることができる基本技で、さらに自身の異常や所持金、所属団体が分かる、言わばプロフィールみたいなもので、相手に見せようと思えば見せることができる。」
「その通りですぞ。まあ、2つとも基本技では無く、日常動作程度に考えた方が良いですな。」
一通りの説明を受けて、ガッちゃんが確認する。それを聞き、王様は補足を付け加える。
「なるほど。良く分かりました!ありがとうございます!」
「ホッホッホッ」
感謝の念を伝えるガッちゃんに対し、優しく笑い返す王様。召喚からわずか5分で死んでしまった者同士、この短時間で仲良くなっていた。
「その点では殺人鬼にも感謝・・・やっぱ無理」
「それは置いときまして、次はお持ちになるお金について・・・」
旅立ちの準備は、着々と進んでいた。
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「クシカツッ!」
「う~」
ウ~ちゃんは、アジトの壺割りを続行していた。たまに来る残党の頭を卵の如く握り潰し、壺が四方八方に飛んで行く。それにしてもこのアジト、壺がありすぎである。
---てれれーん☆
「うっう~☆」
再びアイテムを見つけるウ~ちゃん。今度はお金のようだ。20と書いてあるので、便宜上20円としよう。この世界でもはした金であろう。何故、壺にいれておいたのか、甚だ疑問である。
「うぅ・・・」
「ボスの仇いいいいいいぃびちゃぁ!」
ガッカリしながら、新手の残党をラリアットで吹っ飛ばし、壁の染みに変える。その染みの下には・・・
宝箱があった。
「う!?」
びっくらこくウ~ちゃん。新手が飛んで行った先がボスの部屋と言うことは、今となっては蛇足である。
「うっうっう~♪」
ワクワクするウ~ちゃん。壺割りを基本とするならば、宝箱は冒険の醍醐味。中には夢と希望が詰まっているのだ。
そして溢れる高揚感を感じながら、宝箱を開ける。すると中には・・・
「うぅ・・・」
ガリガリで死にかけている女の子が入っていた。