14殺目 魔王VS理不尽
「いけいけいっけーっ!!」
「う~!」
ここは城の地下。ウ~ちゃん達は敵地に侵入したときの勢いを落とさぬまま、魔王城の中を荒らしまくっていた。階段を上がって魔王の所に向かわないのは、もちろん道中のアイテムを見逃さないためである。すると、あんまり意味の無さそうなマッピングを取っていたイルニスは、なにかに気づいたようにウ~ちゃんに話しかけた。
「何か、この壁の向こうにありそうだって私の第六感が語りかけていまっす!」
兵士の背中の皮をひっぺがして出来た、色々ぐちょぐちょな地図で何が分かるものか。ウ~ちゃんはマスクの下で怪訝な顔をしたが、もう宝物庫や井戸の下など見るべき所は調べ終わったので・・・
「う~!」
イルニスが指差していた壁に思い切りぶちかした。そりゃもう更新をサボって遊んでいた誰かさんをメチャメチャにする勢いで。
ゴワシャアァ!!
ぶちかまされた壁は、圧倒的暴力に巻き込まれてあっという間に吹っ飛んでいった。そしてその残骸は散弾の如く、破壊力を伴って飛んでいき・・・
「プジョピッ!」
「ほら!やっぱり部屋がありましったよって・・・ん?」
意外とマッピングと勘が冴えていたイルニスの耳に、何か汁気の多いものが潰れる音が入った。
「あっらー?ウ~さん、人がいるみたいでっすよ。一人きれーな服を着たのが死んじゃいましたが。もう一人は無傷みたいでっすけど」
ウ~ちゃんは辺りを確認する。どうやら自分達はきれーな服を着た人(故)から見て、部屋の右側から入ってきたようであった。そのきれーな服を着た人(故)は手首を鎖に繋がれており、明らかにここに捕らえられているのが分かる。飛んできた壁の残骸のせいで頭と胸がグロテスクになっているが。
もう一人の無傷の人・・・まだ少年であろうそれは、目を大きく見開き、ウ~ちゃん達を見逃さんとばかりに捉えていた。そして、無傷の少年は口を開いて、
「何でここが分かったんだ!?これも、勇者のちか「うー!」クシカツッ!」
先手必勝。こんな場所にいて、壁の残骸を浴びても無傷な少年は、どうせろくでもない奴だろう。そう思ったウ~ちゃんは少年が話している最中に、素早く近づき頭を握り潰した。スピードファイターウ~ちゃんの誕生である。
「・・・。この部屋は牢屋みたいでっすし、怪しい少年も潰れちゃいましたっし、もう魔王のところに行っても良いんじゃないでっすか?」
「う~」
こうして、世界を混乱に陥れた魔王は、湧いて出てきたような理不尽の塊によって地獄に戻されたのであった。
・・・・・
魔王の頭をクシカツッ!した頃のガッちゃん達in城
「それで、王様も魔王軍の奴等が引いた理由が分からないと」
「むぅ・・・かたじけないですな・・・」
「うむむ・・・」
ガッちゃんは王様や姫様に、城下町で起きていたことをあらかた訊いたが、肝心の理由までは誰も検討がついていなかった。
それもそうである。何せ敵の大将を目前としながら一人残らず撤退したのだから。
「王様!大変です!」
「む!?魔王軍の動きが分かったのですかな?」
膠着した会話の中に、兵士長の声が割り込んできた。兵士長の焦り具合から、王様はまた由々しき事態が起こったのではないかと勘繰り、兵士長に報告を促す。
「魔王が死にました!あと、神父軍団が様子を見計らって、王妃様の棺を引きずってきました!」
「はっ・・・???」
あまりにも唐突すぎて、ガッちゃん達は間抜けた声と同時に鼻水を垂らしたのだった。
不定期更新でごめんねー。