8殺目 素敵なステータス
「ふんふんふんふーっん♪」
「う~♪」
町を出て30分、ウ~ちゃん達は平原を歩いていた。特に何も起こらないので、鼻唄を鳴らしながら歩いていると、ふいにイルニスがあることに気付いた。彼女は丈の合わないガウンを翻しながらウ~ちゃんの方に振り向く。
「そういやウ~っさん、今更ですけどステータス見せ合いませんか?どうせ今暇でっすし今後役に立ちそうでっすし」
「うっ!う~!」
「把握。今まで知らなかったんでっすか?ステータス確認は常識じゃないでっすか」
それはお前に言われたくない。しかしアイテムボックスの他にもステータスもあると知って、ウ~ちゃんは仮面の下で鼻孔を膨らませた。
「まあいいっや。ウ~っさん、ステータスはこーやってポポイッて開くんでっすよ」
イルニスはウ~ちゃんの興奮も察しているようで、まずは自分が手本と言わんばかりにステータスを開いてみせた。すると、彼女の目の前に黒いガラス板のようなものが現れて、文字がシュパパパと書かれていく。それが全て書かれ終わると、イルニスの目の前からシュンと消えて、ウ~ちゃんの目の前にパッと出てきた。
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イルニス(享年15♀) LV.20
[種族]人間型ゾンビ
[職業]無職
[能力]HP 0/5647
MP 4/4
攻撃 50
防御 10
魔力 5
速さ 10
[特性]アンデッド・悪食・肉体修復
[装備]頭:なし
体:黒のガウン
腕:(右)なし/(左)なし
足:普通の靴
[お金]11298円
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「う・・・」
まるでRPGみたいだぁ・・・と思うより先に、なんじゃこりゃ・・・とウ~ちゃんは思った。
HPは体力であろう。元の世界のゲームではそうだった。しかし、0とは何だ。もうやられているではないか。いや、もう死んでいるが。あと、標準のステータスはよく分からないが、やけに最大HPが大きすぎる気がする。
「あとこっこを、ピュッてするっと」
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[特性詳細]
アンデッド
既に死んでいるのでやられない。逆に、HPを回復させると弱る。満タンになると成仏する。また、体が腐って風化しても成仏する。
悪食
強力な消化液で何でも溶かす。食べた相手の強さに応じて最大HPが増える。
肉体修復
体が崩れても、最大HPを減らして修復できる。腐った体も修復できる。最大HPが1の場合は修復しない。
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イルニスが何かを念じると、すぐに板の表示が変わり、特性詳細というものが出てきた。そこには彼女の能力が詳しく書いてあり、HPが異常に高い理由や薬草で苦しむ理由、首が飛んでも再生する理由などが良く分かった。
なるほど、これは便利だ。
「まっあ、こんな感じでヒュッとしてパッと出せばいいんでっす。ウ~さんもやってみてくだっさい」
「う~」
イルニスに言われて、ウ~ちゃんも見よう見まねでやってみた。すると、軽く念じるだけでパパッと目の前に黒い板出てきた。そして、イルニスにも見えるようにそれを大きく広げると、白文字が瞬時に表示されて・・・
「なんですっか・・・これ・・・」
「う!?う!?」
草原に清々しい風が吹く。それに似合わない顔をしながら、2人は目の前の板を見つめていた。
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一方その頃、ガッちゃん一行も町の出入口でステータス確認を行っていた。前振り云々は省略して、彼らのステータスは以下である。
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ガッちゃん(17♂) LV.20
[種族]人間
[職業]勇者
[能力]HP 34/34
MP 23/23
攻撃 45
防御 33
魔力 28
速さ 23
[特性]勇者の心・運気0
[装備]頭:兵士の兜
体:皮の鎧
腕:(右)光導の剣/(左)なし
足:スニーカー
[お金]37564円
☆~☆~☆~☆
[特性詳細]
勇者の心
全体的に他の職業よりも能力の上昇が大きい。ピンチになると全ての能力が大幅に上がる。
運気0
運がトコトン無い。
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アン=テン(25♀) LV.32
[種族]人間
[職業]魔法使い
[能力]HP 132/132
MP 193/193
攻撃 36
防御 52
魔力 134
速さ 67
[特性]炎優遇
[装備]頭:なし
体:黒のローブ
腕:(右)赤石の杖/(左)なし
足:皮ブーツ
[お金]37564円
☆~☆~☆~☆
[特性詳細]
炎優遇
炎魔法の威力が他の魔法よりも高く、消費MPが少ない。
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バブルス=ケツホルド(38♂) LV.35
[種族]人間
[職業]酒場の店長
[能力]HP 187/187
MP 101/101
攻撃 142
防御 114
魔力 69
速さ 69
[特性]回復優遇・博愛
[装備]頭:はげ
体:ピンクのレオタードwith黄金股間ガード
腕:(右)鉄の棍棒/(左)なし
足:網タイツ
[お金]37564円
☆~☆~☆~☆
[特性詳細]
回復優遇
回復魔法が他の人よりも効果が高い。消費MPも少ない。
博愛
味方にいるだけで相手から受けるダメージが減る。効果範囲は69m以内。
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みんなの能力を見たガッちゃんは、パーティのバランスの良さに内心ホクホクしていた。いや、しようとした。この先の順風満帆な冒険に思いをはせようと心掛けた。しかし、
「運気0って何だよ!」
「あらあら、先の冒険がスリル満点で楽しみね」
「やめて!俺また死ぬのヤダァ!」
頭を抱えて前に屈むガッちゃんに、黒髪を撫でつつ慰めの言葉を掛けるアン。彼女自身、弟が酷い目に遭っているのに和やかでいられるとは、すごい精神だ。そう心の中で感心しながらも、ガッちゃんはこれからの冒険の険しさを想像する。そのままヤダヤダパワーで屈んだ背を後ろに伸ばし、背中から地面に倒れて左右に転がった。おもちゃ売り場でごねる子供のようである。そのとき、転がっているガッちゃんの脇を両手で掴んで、バブルスがか弱い勇者の顔に自分の顔を近づけてきた。
「大丈夫よ"。ガッちゃん"が傷付い"たら"私が癒してあ"げる"。そ"して夜は慰め"てあ"げちゃう"わ"ぁ」
「いやああああああああああああああ!」
回復役がたまたまバブルスであったのはラッキーであったが、今度はガッちゃんのお尻が危ない。それを含めて運気0だとしたら、ガッちゃんの受難は現在進行形で続いていることになるだろう。至近距離のはげ頭から逃れるべく、ガッちゃんは両手両足をバタバタさせたが逃げられない。せめて元の世界でファーストキスを済ませておくべきだったと後悔したそのとき、近くの草の下から茶色いものが噴き出してきた。
「え!?何?何?」
「あら?ようやく出たみたいね」
バブルスに押さえつけられて周りが少ししか見えないガッちゃんは驚いて目を丸くするが、アンは優しい笑顔でそれを見つめていた。そのあと、バブルスもそれに気付いて、
「ガッちゃん”、初陣よ”!頑張ってね”!」
「え?え?」
応援してくるバブルスの意図が分からないガッちゃん。すると、草原から湧いてきた茶色いものが徐々に大きくなり、それは人型へと変貌した。
「ドロリンコよ。冒険初心者でも倒しやすい雑魚だから、ガッちゃんにはぴったりな相手ね」
「そ、そうですか・・・。よしっ!やってやるぞ!」
最初の敵はスライムかゴブリンだと思っていたが、まあそれはどうでもいい。アンの説明を受けたガッちゃんは腰から剣を引き抜き、ドロリンコと対峙した。
ガッちゃんは最初の戦いが始まる・・・。死亡2回目でようやくとか気にしない気にしない。
すみません、私情で投稿遅れました。次話は月曜の予定。




