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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百九十二 沙奈子編 「関わる必要もない」

こうして延々と話はしてるけど、山下典膳やまもとてんぜんさんについては、不思議とほとんど話題に出てこなかった。


沙奈子も特に話したそうにしてる印象はなかった。


『本当は話したいけど口にできない』


みたいな印象はないんだよ。何度か話を振ってみたのに、話を逸らすような感じでもないのに続かなかった。


だからきっと、沙奈子の中では山下典膳さん自身に対する『負の感情』みたいなものはないんだろうな。


当然か。典膳さんが彼女の実の父親に似てたことの責任なんて、あるはずもないから。


世の中には、


『嫌いな相手に似てる』


『気に入らない相手に似てる』


というだけでまったく無関係な人を嫌ったり攻撃的になったりする人がいるけど、そんなのはとても理性的な人のすることとは思えない。


もちろん、『なんとなく苦手だな』と感じてしまう程度のことはあって当然だと思う。思うけど、だからってそれを露骨に相手に向けるのは『理不尽』ってものじゃないのかな?。僕はそれを理不尽だとしか思わない。その人には何の責任もないのに。


もし沙奈子がそんなことをしていたら、僕はやめさせてあげなきゃと思う。そんなことで彼女が他の誰かを傷付けたり苦しめたり悲しませたりするのを、僕は放っておきたいとは思わないんだよ。彼女がたとえ何歳になっても。僕が生きてる限りは『人生の先輩としてのアドバイスをしたい』って感じるんだ。


これについても、


『子供が大人になったら親はもう関係ないだろ』


みたいに言う人がいると思うけど、じゃあ、最初から縁もゆかりもない全くの赤の他人に対してあれこれ口出しするのは、何なの?。自分が育ててきて自分の影響下にあった相手が『成人年齢』を迎えただけで関わる必要もない存在になるのなら、最初から関わりのない相手なんてそれこそ関わる必要もないとしか思わないんだけどな。


『子供が大人になったら親はもう関係ないだろ』なんてのも、結局は自分を甘やかしたい親が言ってるだけでしかない気がしてしかたない。それか、自分が親になった時に備えてあらかじめそういうことにしておきたいと考えてるかかな。


それがどちらにしても、もし本気でそんな風に思ってるなら、自分の子供でもないどこかの誰かに対して口出しするなんて、どう考えても間尺に合わないとしか思えないんだよ。


最初から自分には何の責任もないどこかの誰かの振る舞いを改めさせようなんてことをしてる暇があるのなら、自分の子供の振る舞いについてちゃんと見ておくべきだとしか思わないんだけどな。



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