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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百九十一 沙奈子編 「頼れる相手」

『ネットで、どこの誰かも分からない、ネットが普及する前ならそれこそ一生知ることもなかったかもしれない人を批判できるようになって、世の中は良くなったのかな?。お父さんにはそんな印象はないんだけどな』


僕のその言葉に、沙奈子も、


「私は昔のこととか知らないからよく分からないけど、なんか、『生き難い世の中になった』『世知辛い世の中になった』みたいに言ってる人はいるよね」


って言ってくれた。そう言ってくれるのなら心配ないと思う。『世の中を良くするために』みたいな言い訳で誰かを攻撃するようなことはしないでいてくれる気がする。


だけどそこで安心して沙奈子の様子をよく見ないようになってしまったらマズいとも思う。人間は『変われてしまう』から。いい方向にも、悪い方向にも。だから僕の目が届くうちは、彼女がたとえ何歳になってもきちんと見ていてあげたい。そして誰かを傷付けるような振る舞いを始めるようなことがあったら、その矛先を僕に向けさせたいんだ。この子が、自分とは縁もゆかりもないどこかの誰かを攻撃することで憂さ晴らしをするなんてこと、させたくない。


だから改めて言うんだ。


「どこの誰かも分からない相手の行いを『批判』する前に、自分の身近な人の行いについてしっかりと見るべきだとやっぱり思う。そしてもし、自分が批判してる相手と同じようなことをしてた時には、それを改めてもらえるように働きかければいいと思うんだ。だから沙奈子がもし、誰かに対してもし、苛々してしまうようなことがあったら、まず僕に当たってほしい。何度も言うけど」


これには沙奈子も、


「うん。分かってる。私が他の人に八つ当たりするようなことをしたらお父さんが悲しむって、知ってる。だから余所の人に八つ当たりするようなことしないよ」


またそう言ってくれる。


これは本当に何度でも伝えなきゃいけないし、何度でも確認しなきゃいけないことだと思う。でないと、人間はついつい忘れてしまうから。別の解釈を加えてしまうから。本人も気付かないうちに変遷してしまうから。


だからちゃんとこうやって認識をすり合わせなきゃいけないし、それができる関係を維持しなきゃって思うんだよ。


これをただの『親のお説教』『親の小言』って思われてしまうような関係じゃ、届かなくなってしまう。それじゃ駄目なんだ。


自分のことをちゃんと受け止めてもらえてる実感があれば頼りにもしてもらえると思うけど、そうじゃない親なんて頼れない。僕自身にその実感があるからこそ、僕の両親は僕にとって頼れる相手じゃなかったからこそ、その実感を活かしていかなきゃね。



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