表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2586/2601

二千五百八十六 沙奈子編 「デリカシーがない」

『じゃあ、『自分たち家族はこんなに仲良しなんです』みたいなアピールは、あんまりしないようにしなくちゃね』


こう言うと今度はそれに対して、


『他人の顔色ばっかり窺って、自分の幸せを表現できないとかおかしい!』


みたいに言う人が出てくると思う。だけど僕は、


『自分たちが幸せなのを他の誰かに認めてもらう必要』


そのものを感じないんだよ。だからそもそも他の人に自分たちがいかに幸せかを知ってもらう必要も感じない。それを知ってもらいたいと思うのはなぜ?。何のためにそれを他の誰かに知ってもらいたいと思うの?。


僕は今の時点で満たされてて、別にこの上で誰かに、


『幸せそうな家族でいいですね』


的に賞賛されたいとは思わないんだ。その必要を感じないんだ。


もちろんこのこと自体、沙奈子に押し付けるつもりはないよ。沙奈子がもしそういうアピールを他の誰かに対してしたいと思うのなら、無理に抑え付けるつもりもない。ただ、実際に今の世の中で起こってることを見たら、せっかくの自分たちの幸せに水を差される結果になることも少なくないんだろうなっていうのが分かってしまうだけなんだ。


『その可能性があるのが分かっててその上でアピールせずにいられない』


というのは、それ自体が少し引っかかりを感じるし。


『どうして、『アピールせずにいられない』んだろう?』


って思うんだ。何がそこまでさせるんだろうね。


幸い、沙奈子は『じゃあ、『自分たち家族はこんなに仲良しなんです』みたいなアピールは、あんまりしないようにしなくちゃね』という僕の言葉に『うん』とためらうことなく頷いてくれた。その時の様子を見る限り、素直に受け入れてくれたんだと感じる。


もちろんそこにも僕と沙奈子との間で『認識のズレ』があるかもしれないという可能性そのものは否定できないのも分かってる。分かってるけど、少なくとも嫌々納得したふりをしてるわけじゃないのは確かだと感じるんだ。


「僕たちの幸せは僕たちのものだからね。他の人にそれを知ってもらう必要は別にないとお父さんは思ってる。僕たちが幸せなのは僕たちだけが知ってればいいことだよね」


その僕の言葉にも、


「だよね。私たちは私たち、他の人たちは他の人たちでいいよね」


そう言ってくれる。


「うん。『幸せのおすそ分け』みたいなことを言う人も世の中にはいるけど、それって他の人からすれば『大きなお世話』って感じることもあると思うんだ。それを考えないのは、『デリカシーがない』って言われても仕方ないとお父さんは思う」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ