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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百七十四 沙奈子編 「区別できるなら」

『学費くらいはお父さんに出させてほしいかな。それがお父さんにとっての『必要なお金』だし』


さらに僕は続けた。


「そうなんだ。何も無い袖を振ってまで無理をする必要はないにしても、せっかくそれだけの余裕が今はあるんだから、他に使いたいことも別にないんだから、沙奈子がさらに洋裁について深く理解して技術を磨いていくための勉強をするために使うのをためらう必要はないと思う。それこそが、『お父さんにとってのお金の使い道』なんだし。


沙奈子の今の貯えについては、今後なにかの形で必要になってくる可能性はあるだろうな。だったらそのために残しておくのも『備え』のはずなんだ。『お金を貯めること』そのものを目的にするのはちょっと違う気もするけど、備えとして残しておくことはやっぱり大事だと思うんだよ。そしてその備えを使う必要が来た時にはちゃんと使う。それを心掛けていってほしい」


と。


これに対しても沙奈子は、


「うん。お父さんの言うこと、分かるよ」


って応えてくれたけど、


「でも、最初の五百円玉だけは、残しておきたいかな……」


とも。それには僕も、


「あはは、五百円くらいならね。記念にとっておいてもいいと思う」


頬が緩むのを感じながら言った。それからも。


「そういう『記念の品』を取っておきたいという気持ちも、お父さんは別に否定したいわけじゃないんだ。ただ、だからって何でもかんでも残しておこうとすると逆に負担になってしまうこともあるからね。『ゴミ屋敷』みたいな話にしても、それを作ってしまう本人にとっては『残しておきたいものだから捨てられなかった』という場合もあるんだろうな。だけど五百円玉一つくらいならそんなに負担にならないしね」


「そうだよね。でも、お父さんがくれたものは残しておきたいって思うんだ。だから小学校の時に使ってたものも捨てられない」


「ああ、そういえば大事に取ってあるんだったね。まあでも、それもまだ段ボール箱三つ分くらいだし、押し入れにちゃんと収まってるし、今は別に何でもかんでも残してるわけじゃないよね?。だったら大丈夫かな」


「うん。服とかも、最初の頃に買ってもらったものだけ残してる感じ。今は着れなくなったらお母さんに捨ててもらってる。ホントは残しておきたいけど」


「そうやって思い切れるならいいよ。『残しておきたいもの』『ホントは残しておきたいけど残しておくと負担になってしまうもの』を区別できるなら心配ないと思う」


「だよね」



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