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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百七十二 沙奈子編 「こんなはずじゃ」

『ホント言うと最初はお小遣いってなんかよく分かんなかったんだ。もらってもどうしたらいいのか分かんなかった』


沙奈子のその告白に驚いてしまった僕だけど、でも、そういう『認識の違い』というのは人間である以上は必ずあると思うから、そんなに気にする必要もないと感じる。認識にずれがあったのならその度にすり合わせていけばいいし、それができてこそ人間関係というものも穏当に成立させることができるはずなんだ。自分の認識を相手に一方的に押し付けるだけじゃ、いずれ破綻する。


そういうものじゃないの?。そういう実例は、自分のすぐ身近にも無数に溢れてるんじゃないの?。好きになった相手と付き合いだしてから結婚してから、


『こんなはずじゃなかった』


なんて、まさしくそれだと思うんだけどな。自分の認識と相手の認識にずれがあって、そのずれを自覚するようになって、無視できなくなっていって、やがて『こんなはずじゃなかった』って思うようになるんじゃないのかな。


そもそも自分と相手は別の人間なんだから、『完全に完璧に同じ認識を持ててる』なんてことがまず有り得ないと理解してれば、そこまで気になることじゃないと僕なんかは思ってしまうんだけどな。


沙奈子とだって、僕が見ているもの認識しているものと、彼女が見ているもの認識しているものは、必ずしも一致してないと思ってる。分かってる。だからその違いを改めて知ることになったとしても、驚きはしても『失望』とかはしたくない。


自分が思ってたのと違ってたからって失望するのは、非礼だと思うから。礼を失してると思うから。相手を人間だと認めてなかったってことだと思うから。


もちろん、自分が期待してたのと違った時にがっかりしてしまうのも、人間だったらどうしてもあることだと思う。『失望するな』『がっかりするな』と言いたいんじゃないんだ。あくまで非礼であり失礼なことだって自覚して、自分の期待や認識とずれていたことを相手の所為にしないようにすればいいと思ってるだけで。


だから僕の認識と沙奈子の認識にずれがあったことについても、沙奈子の所為にはしたくない。そう認識してたのはあくまで僕の勝手だから。僕の都合だから。


『思ってたのと違った』


と感じるのが嫌なら、事前にしっかりと確認してちゃんと認識のすり合わせをするべきだと思う。その手間を惜しむのは結局は『甘え』だし、甘えたいならその自分の甘えについては自分が責任を負うべきだと僕は思ってる。



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