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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百六十九 沙奈子編 「準備も整いつつある」

そうだね。親がいくら努力してる姿を見せても、親はやれてても、子供は『親とは別の人間』なんだから、


『自分には無理』


って思ってしまうことだってあるよね。ネットとかでも多いんじゃないかな?。


『自分はできてる』


みたいに言われたら、


『誰でも同じようにできると思うな』


と反発してしまう人が。だから、


『マウント取られてる』


なんて思ってしまうんだよね?。だったら親がやれてても子供も必ず同じようにできるとは限らないのも分かるはずだよね。


それが分かってる以上は、僕は沙奈子に『僕がやれてるんだから君もやれるはず』という言い方はしないでおこうと思ってるんだ。経験がなければ実感も持てないのは確かだし。


千早ちはやちゃんとの関係だって、沙奈子自身が選んだことなんだ。僕はただそれに対して過剰に干渉しなかっただけ。そして僕がそうできたからって『同じようにできるはず』と思われたくないんだよね?。


僕はそのことを無視したくない。


そんな僕に、沙奈子は、


「千早だけじゃなくて、ヒロも結人ゆうと一真かずまも優佳もいてくれたから、すごく安心できた……」


とも話してくれる。しかも、


「それに琴美ことみちゃんの前であんまり取り乱したりするのって、したくなかったし……」


だって。


自分の姿を琴美ちゃんが見ているというのももう自覚できてるんだな。


そうなんだ。これまでは僕が彼女に対して手本を示さなきゃいけなかったけど、高校生になってさらに仕事までするようになったら、今度は沙奈子が『手本を示す側』になっていくよね。琴美ちゃんから見たら沙奈子だって『大人の一人』だしね。


そのことが自覚できてたら、本当に大人になっていく準備も整いつつあるってことかもしれない。法律上はまだ『未成年』で『子供』でも、もうすぐ『成人年齢』を迎えるのも紛れもない事実。成人年齢を迎えた瞬間に『大人になれる』なんて、人間は機械じゃないんだからそんな『設定を変更するだけでぜんぜん別の仕様になる』みたいなのは無理だよね。誰だって徐々に徐々に『大人になれていく』だけだよね。


この現実と向き合うなら、


『今日から大人としての自覚を持て』


だとか、『言葉の綾』としてならともかく本気で言えたりしないよね。


でも、沙奈子は改めてそんな風に僕が言葉で説明しなくても、すでに自覚が芽生え始めてるのが伝わってくる。


沙奈子がまともに精神的に成長し始められたのは僕のところに捨てられてからで、まだ七年しか経ってなくて実質的にはまだまだ幼いんだとしても、少しずつならそういうのもあるんじゃないかな。



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