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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百六十六 沙奈子編 「傷も浅く済んだ」

千早ちはやちゃんが実は異性として大希ひろきくんを意識してたわけじゃなく『自分にとって都合にいい弟』が欲しかっただけなのを本人もよく分かってなかったりした一方で、でも彼に対する執着は確かにあったことで、彼に気遣われてる沙奈子に仄暗い感情を抱いてしまったのが、そもそもの原因だったみたいだね。


千早ちゃん自身、大希くんへの気持ちについてはもう完全に『終わったこと』らしくて、今は『自分にとって都合のいい弟』でさえなく、どこまでも『友達』になってるみたいだ。


それも成長の一つの形なんだろうな。自分の気持ちを客観視して向き合えるようになるというのも。


しかも、沙奈子にとっても欠かすことのできない大切な友達の一人で、沙奈子の一部にさえなってると思う。千早ちゃんが傍にいない沙奈子なんて、もう想像もつかないくらいだよ。


千早ちゃんがしたことはあくまで『イジメの疑い案件』であって明確なイジメであるとは断定されなかったにしても、沙奈子のように我慢強い子でさえ『学校に行きたくない』と口にしてしまうほどのものだったにも拘わらずこうなれたのは、一にも二にも、学校側が『イジメの疑い案件』の段階で丁寧に対処してくれたおかげで、傷も浅く済んだからだと感じる。


もしこれが放置されて完全な『不登校』にでも至ってたら、学校に行けなくなっていたら、今の二人の関係は決してなかった気がするんだ。半永久的に『許せない』と感じてしまうほどの傷を負ってたらね。


僕だって、沙奈子をそんな目に遭わせた相手と友達になるなんて、とても認められなかっただろうな。


いくら千早ちゃんの方にも決して軽くない『事情』があっても、


『理由があれば何をしてもいいというわけじゃない』


から。


彼女が抱えている事情を知ったことで『許してもいい』と思える段階で収まってくれていたからこそのものだろうな。


『イジメ』をあくまでも『疑い案件』の段階でしっかりと対処するというのは、そういうことだ思うんだ。取り返しのつかない傷を負ってからじゃ手遅れなんじゃないかな。だからこそ周囲も大きな傷を負うことになってしまう。


大人だったらそういうことも考えられると思うんだけど、実際には事実を見て見ぬふりをしてなかったことにして、それで取り返しのつかない事態に至ってから取り繕おうとする人がとても多い気がするんだ。


沙奈子が通ってた小学校は、それをわきまえてるところだったってことだと思う。


分かってて通わせたわけじゃないけど、すごくいいところに通えたよね。



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