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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百六十五 沙奈子編 「今の関係がある」

それでも結果として沙奈子と千早ちはやちゃんは、今じゃ『親友』って言葉で表現しても何も違和感がないような関係になれてると思う。『仲良くしなきゃ駄目だよ』なんて言わなくても、ううん、そんな風に言わなかったからこそなんじゃないかな。


もちろん、


『仲良くしなきゃ駄目だよと言わなかったから仲良くなれた』


という意味じゃなくて、あくまで千早ちゃん自身に、


『沙奈子から見て信頼できる部分』


があったからこそ今の関係があるんだとは思ってる。それがなくちゃ今の関係を築くなんて無理だと分かってるんだよ。僕だってそんなことはできない。自分にできないことを沙奈子にやらせようなんてムシのいいことは考えてないつもりなんだ。


その点でも、沙奈子が通っていた小学校の先生たちは、丁寧に対処してくれたと思う。頭ごなしに、


『仲良くしなさい』


と言葉を投げつけるだけで『指導したつもり』になるんじゃなくて、自分たちの働きかけが生徒に実際にどう届いているのか、生徒がそれをどう受け取っているのか、解釈してるのか、ちゃんと確認しながら指導してくれてたのを感じる。沙奈子と千早ちゃんが結果として今の関係に至れたのも、そういう背景があってのことなんじゃないかな。


頭ごなしに『仲良くしなさい』と強要されただけじゃわだかまりが残ってしまって、ただぎくしゃくした感じになってしまってたかもって感じもあるんだよ。


それくらい、『人間関係』というのは一筋縄ではいかないものだと僕も思ってる。感じてる。


なにより、千早ちゃんが沙奈子にきつく当たっていたのは、当時の彼女が大希ひろきくんに対して『恋心』のようなものを抱いてて、でもその大希くんが沙奈子をすごく気遣ってくれてて、そんな様子を見てヤキモチを妬いてしまったのが一番の原因だったみたいだし、これもまた人間関係の難しさの一つのような気もするんだ。


しかもその『恋心のようなもの』自体、本当に、


『千早ちゃんが大希くんに恋してた』


というわけじゃなくて、実は、


『自分にとって都合のいい弟が欲しかった』


ってだけのことだったらしいというのが、後になって分かってきたんだったな。お姉さんに二人からつらく当たられていた千早ちゃんにとって、


『自分が好き勝手していい弟』


みたいな存在として大希くんを必要としていただけだったと。今では千早ちゃん自身、それを自覚してるそうだ。


だから、本人でさえ自分の気持ちを正確に理解できない場合もあるってことだよね。



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