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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百六十 沙奈子編 「そのための謝罪」

『だけど、『怖い人じゃないんだ』ってのは、ちょっとだけ感じたかな』


沙奈子はそう言ってくれたけど、でもいつだって強引にするのが正しいなんて、僕は思わない。あの時はたまたま上手くいっただけで、逆効果だった可能性だって十分にあったはずだから。


絵里奈も玲那も不器用なところがあるから、他に上手くやれる方法を思い付かなかっただけなんだろうな。


だからこそ、


『申し訳ない』


と思うんだよ。そして、


『次にもし同じようなことがあったらやっぱり少しくらい強引にやっていい』


とは考えないようにしなくちゃと思う。たまたま上手くいっただけの事例を『正解』と考えるのは無責任だと思うんだ。ただの『手抜き』だと思うんだ。『沙奈子じゃない人』は沙奈子とは別の考え方や感じ方をするからね。彼女の場合で上手くいったのも、それは『沙奈子だったから』というのが大きいはずなんだよ。


『沙奈子はとても感受性が強いから、絵里奈や玲那がどういう人なのかを感じ取りやすかった』


というのもあるんじゃないかな。だったらやっぱり、


『他の子でも同じように上手くいくとは限らない』


としか思えない。


しかも沙奈子の場合だって、本当にたまたま上手くいっただけだから。そんな危なっかしい行き当たりばったりなやり方をしてしまった点については、やっぱり謝罪は必要だと思う。


『終わりよければすべてよし』


というのも、いつだって通用するわけじゃないはずなんだ。なにより僕は、


『結果は手段を正当化しない』


って思ってるしね。


それを認めるなら、テロ行為だって許されてしまうんじゃないかな。しかも、


『誰かにとって都合のよい結果』


は、


『他の誰かにとっては不幸な結果』


だという場合だってあるだろうし。


『自分にとってさえ都合がよければそれでいい』


なんて考え方も、子供のそれだと思う。視野が狭く世界が狭い子供のね。


子供はそれでいいとしても、大人がそれじゃ困るんじゃないかな。


そう思うから僕は謝罪する。


『次も同じやり方をしようとは思ってない』


というのを表明するために。沙奈子がそこまで反発してなかったのをいいことに僕や絵里奈や玲那の『手柄』にするつもりもない。


そのための謝罪なんだ。


そして、だからこそ沙奈子は僕を信頼してくれてるんだろうな。なんでも自分に都合よく解釈して手柄にしてしまうようなことをしないから。


世の中にはいるよね。物事を自分に都合よく解釈して、まるで自分の手柄のように言う人が。


そうまでして自分に価値があるってことにしたいんだね。



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