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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百五十六 沙奈子編 「幸せになる方法の一つ」

そういえばあの時、僕も焦ってしまって、沙奈子の気持ちまで考えられていなかった気がする。それを今、改めてこうして教えてもらったんだ。


「そうか、ごめん。怖かったよな」


何年か越しの謝罪に、


「ううん、大丈夫。ヒロんちで遊べて楽しかったから」


沙奈子は少し微笑みながら言ってくれた。


ああそうだったな。あの時、家に帰れなくなったこの子を、山仁やまひとさんが預かってくれてたんだ。それがきっかけで山仁さんと知り合ったんだった。


本当に皮肉だよね。鍵を忘れて家に帰れなくなったという大変な事態が、大変な恩人との出逢いのきっかけになるんだからね。


だけど人生っていうのはそういうことの連続なんだって思う。


しかも確かこの日の翌朝に沙奈子がおねしょをしたんじゃなかったかな。それからずっとおねしょが続くことになって。


なのにそのことも、山仁さんと出逢ったおかげで深刻な話にならずに済んだ。イチコさんは中学二年の頃まで、大希ひろきくんもこの頃にはまだおねしょをしていて、それに対処するためにおむつを使っていると知って、すごく救われた気がした。そうじゃなかったら、沙奈子がおねしょをする度に布団を干してシーツやパジャマ代わりの部屋着を洗濯してって羽目になって、苛々してしまってたかもしれない。


世間では、


『小学生や中学生にもなっておむつを使うとかおかしい』


みたいな認識があるかもしれないけど、


『必要ならちゃんと使う』


『あるものをしっかりと活用して負担を減らす』


のはすごく大事だと僕はそれで学んだし、『プライド』や『世間体』ばかりを重視して、結果、過剰なストレスが掛かってそれが原因で虐待したりとか精神を病んだりしたら、それこそプライドも世間体もあったものじゃない気がするんだけどな。


虐待してそれが明るみになれば世間から叩かれるのは『火を見るより明らか』だし、精神を病んでそれをネットとかで発信したら結局はまた心無い言葉を投げ掛けられることに繋がったりするよね?。してるよね?。


じゃあやっぱり、おむつを使って少しでも手間を減らした方がまだいいんじゃないかな。そして、自分たちがそういう事情を抱えてるからこそ、他の誰かも同じように『事情』を抱えてると考えられるようになったりするんじゃないかな。


人間って自分がただただつらい状況にいたりすると、他の人を妬んでしまったり八つ当たりしてしまったりするから。


そういうのを回避するのも幸せになる方法の一つだと思うんだけどな。



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