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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百二十九 沙奈子編 「その選択に間違いが」

『私も一緒に沙奈子ちゃんを支えていくから、何も心配しなくていいよ。パパちゃん♡』


玲那がそう言ってくれると今度は絵里奈が、


「もちろん私も沙奈子ちゃんを支えます……!」


少し前のめりになりながら言った。すると、彼女の膝に座っていた玲緒奈れおなが、


「む〜っ!」


のしかかられるような形になったのが不満だったらしくて、絵里奈の顎を押し返した。


それに気付いた絵里奈が、


「ご、ごめんね!」


慌てて佗びる。


ここで玲緒奈が場の空気を読んで気の利いたことの一つでも口にすれば感動的な場面になったのかもしれないけど、ようやく『赤ん坊』から『幼児』になりつつある二歳の子供にそんなことができたら、むしろ不自然なくらいじゃないかな。


もちろん、自然とそれができる子がいてもいいとは思うけど、僕自身はそんなことを玲緒奈に期待したいとは思わない。自分の子供に都合の良いエンターテイメントを供してくれる演者になってもらおうとは思ってない。


それと同時に、沙奈子のことで頭がいっぱいになってつい玲緒奈にのしかかるようなことをしてしまった絵里奈についても、責める気はまったくない。


彼女が器用なタイプじゃないことは、結婚する前から分かってたことだしね。


なにより、玲緒奈に対してちゃんと謝れるような人なんだ。


子供に対して迷惑を掛けてしまっても、謝るどころか逆ギレする親だっているよね。


迷惑を掛けられた子供が、その不満を口にすると、


『ここまで育ててやったのに!』


とか、恩を盾にしようとしたり。


僕の両親がまさしくそういうタイプだった。


だけど、『親だから』とか『子供だから』とかは別にして、迷惑を掛けたなら、反省する、謝る、という姿勢を示すことは大事だと思うんだけどな。むしろ、親だからこそ、迷惑を掛けた時には、反省して謝るという姿勢を子供に対してちゃんと見せた方がいいんじゃないのかな。


親のそういう姿を見て、子供は、『どうしたらいいのか』を学んでいくと思うんだけどな。


それなのに、


『親が子供に弱みを見せられるか!』


とばかりに、


『反省してる姿を見せない』


『謝らない』


ことこそが、


『親としてあるべき姿』


みたいに思ってる人もいるみたいだね。絵里奈がもしそんな風に考える人なら、僕はそもそも結婚どころか親しくなってもいないよ。上辺だけの社交辞令で済ませてしまえる関係にしかならなかったと思う。深く関わりたくなかったと思う。面と向かって、


『そんなのはおかしい!』


と否定することはしなくてもね。


自分が迷惑を掛けてしまったと感じたら、まだ二歳の玲緒奈れおなに対してもきちんと謝れる。


絵里奈がそんな人で良かった。成り行きというのもあったにせよ、最終的に彼女を選んだのは僕自身だから、その選択に間違いがなかったと改めて実感できた。


彼女となら、これからも一緒に人生を歩んでいけると思える。今回のことだって、一緒に沙奈子を支えていけると思える。


ありがとう、絵里奈。



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