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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百二十三 沙奈子編 「普段とあまり」

そうしていつも通りに人生部としての活動を行っている彼女たちだけど、今は何か特別なことをしてくれるわけじゃないけれど、それでも彼女たちの存在そのものが、僕を支えてくれてるんだよ。それは間違いなく事実としてある。


分かりやすく行動を起こすことだけが、必要なわけじゃないんだ。それまでの積み重ねこそが力になるんだと僕は学んだ。みんながそれを教えてくれた。


そうして今回のことにも臨む。


決して愉快なことじゃなくても、無闇に狼狽えてしまって本来ならしなくていい振る舞いをしてさらに問題を引き起こすようなことは避けなきゃと思えるんだ。そういうのが原因で大きな事態になってしまったニュースとかも、これまでにいくつもあったんじゃなかったかな。


僕はそういうものについても『他山の石』として活かしていきたい。


それが必要なんだと思う。ましてや自己満足のために余計なトラブルを引き起こすなんて、本当に意味が分からない。それじゃ自分で自分を不幸にしていってるだけだと思うんだ。


自分がどんなに頑張っていても気を付けていても心掛けていても、不幸は勝手に向こうからやってきたりもする。何しろ、『元死刑囚の孫』なんて事実は、イチコさんや大希ひろきくんの普段の行いとはまったく関係なく、しかも二人が生まれるずっと以前に起こってしまった事件なんだから、避けようもない不幸だよね。


そうやって自分じゃどうすることもできない不幸だってあるのに、わざわざ自分から不幸を招く必要なんてないんじゃないかな。


これまでにも何度も考えてきたことだけど、 こういう出来事があると、改めてそう思わされる。


沙奈子が安心して家に帰ってこれて、そしてほっとできる状況を、環境を、守っておかなきゃ。


彼女にとって大変なことがあったのに、それとは別にまた何か大変なことがあったなんて、つらすぎるよ。


そう考えて、玲那とは連絡を取り合いながら、状況の説明を受けながら、沙奈子が帰ってくるのを待つ。


そして、四時を過ぎた頃、


「心配させてごめん。お父さん」


絵里奈のスマホから着信があって、沙奈子の声が届いてきた。


すごく申し訳なさそうだけど、声を出すのもつらいとか、そんな印象のあるものじゃなかった。


普段とあまり変わらないそれに、


「よかった。大丈夫なんだね」


僕も本当に安心した。大丈夫なんだというのを直感した。普段からちゃんと言葉を交わして、彼女の話を聞いて、いつもの感じを知っているからこそのものだと思ったんだ。



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