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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百十八 沙奈子編 「私の責任は確かに」

昼前。


「ケーキできました~♡」


千早ちはやちゃんが沙奈子のために作ってくれていたケーキが完成したと言って、画面越しだけど見せてくれた。フルーツをたっぷりと使った、すごく綺麗で贅沢なケーキだった。本当に、ケーキ屋で売られてるものと何も違わない、立派なものだ。


沙奈子に喜んでもらおうと気持ちを込めて作ったものだっていうのも、十分に伝わってくる。


だからこそ少し胸が痛む。


今の時点で無闇に心配させるのも申し訳ないと思うから何があったのかは告げてないけれど、そのために、こちらの音声は千早ちゃんたちに届かないようにミュートしてたけど、沙奈子が帰ってきたら、きちんと説明しなきゃいけないな。


今回のことも、みんなで共有して、思いがけない事態に遭遇した時にどう対処すればいいのかを、考えたいと思う。


『生きる』というのは、元から不測の事態の連続だからね。そんな『不測の事態』も、ある程度は系統に分けることはできたりするんじゃないかなって。そうしてそれぞれの系統の不測の事態について、実際の事例から大まかな対処法というか心構えみたいなものを学んでおくのは、きっと無駄にはならない。


だからといって、詳しくて正確な状況が把握できてない今の時点じゃ、不安ばかりが先に立つと感じるんだ。僕は沙奈子の親だから、彼女のことについては受け止めなきゃいけないにしても、千早ちゃんたちはそこまでじゃない。


それに、千早ちゃんについては、最近、千晶さんのことでかなり揺さぶられる経験をしたところだしね。自分の家族のことでそうなるのは、避けようもないし。


すると今度は、星谷ひかりたにさんから着信があった。改めて千早ちゃんたちには会話が届かないようにしつつビデオ通話に出る。


「山下さん、この度はまことに申し訳ございません。私の注意不足でした」


挨拶もそこそこにそう口にする星谷さんに、


「いえ、これは星谷さんの責任じゃ……!」


慌ててしまうけど、彼女は、


「いいえ、山下典膳やまもとてんぜん氏の本名についてまでしっかりと確認しておかなかった私の責任は確かにあると考えています。屋号のみで十分だと考えてしまっていました」


恐縮した様子の声で。これにも僕は、


「そんな。こんなことさすがに想像しませんよ。それに、人形作家としての典膳さんについては調べていたんでしょう?」


と返す。


「はい。それはもちろん」


「だったら、分かりますよね?。典膳さんが僕の兄じゃ有り得ないってこと」


「そうですね。まったく接点がありませんでしたから」



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