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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千五百十六 沙奈子編 「ビジネスとしての」

『些細なことでドール制作のモチベーションを失ったりして、これまで何度も引退を考えたくらいですから』


山下やましたさんのその言葉は、創作者にはありがちなことなんだろうな。世の中には、何度も引退宣言をしては撤回するみたいなことをしてる人もいるそうだし。


それでもきっと本人はその時点では真剣なんだろうな。本気でそう考えてたりするんだと思う。


モチベーションを失った創作者の中には実際に引退してしまう人もいるだろうし、そういうのもそれぞれなんじゃないかな。他人がとやかく言うことじゃない気がする。


山下典膳やまもとてんぜんさんの場合は、


「創作者というのは、そもそも感受性が高く、環境などに強く影響されることが少なくないと私は考えています。だから私は常に山下やまもとのモチベーションの維持に神経を砕いてきました。それが必要なことだったからです」


とのことだった。それが分かってるからこそ、


「ですから、『SANA』さんのドレス作りに支障が出た場合にも、こちらとしてはそれに合わせて対応を考えています」


そう言ってくれた。『仕事』として考えればすごく困るだろうとは思うけど、あくまで『創作』でもあるから、同じ創作に携わる者として、そういう部分もきちんと想定してあるということだった。


しかも、


「しばらくドレスが作れなくても、大丈夫だよ。そのために、これまでずっと沙奈子ちゃんが作ったのを泣く泣く発表せずに置いといたのがあるんだからね」


玲那の言うとおりだった。沙奈子は、『仕事』としてじゃなく、


『ドレスを作りたい』


という『欲求』と言うか『衝動』に従ってこれまで作り続けてたんだ。


しかも、そのまま新作として発表してもいい出来のものもいくつもあって、だけど、


『ビジネスとしての戦略』


の面から考えて敢えて発表しなかった。星谷ひかりたにさんの発案で。


「いずれ『未発表ドレス』として日の目を見ることもあるでしょう」


そんなことも言っていて。


新型コロナウイルス感染症の件で水族館が休館になってドレスのデザインのアイデアが厳しくなるかもという時にも結局は使わなかったけれど、そうやって備えてはいるんだ。


だから当面の間はそんなに心配しなくていいと思う。


沙奈子のドレスの良さは、どこまでも、本人の中から湧き上がってくるものを、ウケるとか売れるとかではなく、ただ納得のいくものを形にすることで生み出されてるところが魅力になっているんだろうな。


反面、分かりやすく評価されやすいデザインや作り方をしてるわけじゃないから、そういう部分を嫌う人は嫌うんだろうな。



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