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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2512/2601

二千五百十二 沙奈子編 「出逢いがきっかけ」

とんでもなくつらくて苦しい境遇にいたことを、


『経験として活かすことができるようになる』


か、それとも、


『自身の境遇を理由にして不幸をばらまく側になる』


かは、


『実は当人の努力とかだけの問題じゃない』


っていう現実を、僕は蔑ろにしたいとは思わない。『経験』を『活かす』ようになれるには、それができるようになるための『きっかけ』が必要になるはずなんだ。


僕はそれを、親として自分の子供に示していきたいと思ってる。


そして僕がそう思えるようになったのは、沙奈子をはじめとしたみんなとの出逢いがきっかけなんだ。


そうじゃなければ僕は今でもロボットみたいに何も考えないようにしてただ誰かに指示されたことをするだけの生き方をしていた気がする。自分の周りで起こることにさえ目を瞑ってね。それでいいと考えてそうな気がするんだ。


だったら、今度は僕が沙奈子や玲緒奈にとっての『きっかけ』にならなきゃ。自分ばかりが与えてもらってるだけじゃ、それは『子供のまま』ってことになるんじゃないかな。


そんなんじゃ胸を張って『自分は大人だ』なんて言えない気がするんだよ。もっとも、僕は今でも自分のことを『ちゃんとした大人』だなんて思えてないけどね。そこまでの自信はない。ないからこそ、常に自分を律するために意識して努力を続けていかなきゃと思うんだ。


なんてことを考えて、玲緒奈れおなの前では彼女を一番に考えるようにする。するけど、やっぱり沙奈子のことも気になってしまって、仕事にも玲緒奈に対しても集中できてないのが自分でも分かってしまった。『自分はこうでありたい』という想いと実際の自分にはまだまだギャップがあるんだなって思い知らされる。


だからこそ、自分がそうやって完璧でいられないからこそ、自分以外の人が完璧でいられないことについても、理解しなきゃと思うんだ。わきまえなきゃと思うんだ。


そんな僕を、


「パパちゃんは大丈夫?。ちゃんとできてる?」


と玲那が気遣ってくれる。僕を気遣う言葉を届けてくれる。私物のパソコンに入れた専用のアプリが届けてくれる、


『人工的に再現された玲那の声』


が、僕を安心させてくれる。その分、絵里奈には沙奈子に集中してもらうんだ。僕が沙奈子の傍に駆けつけて支えてみせたらドラマ的には絵になるのかもしれないけど、現実はそんな都合よくいかないからね。今の僕が沙奈子のところに駆けつけるには玲緒奈も連れて行かなきゃいけないから。


そうなると結局、沙奈子だけに意識を向けてるわけにはいかないしね。



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