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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百九十五 沙奈子編 「大人のすること」

四月二十七日。木曜日。晴れ。




『相手の都合とかを考えずに、相手が話したい内容かどうかも考えずに、ただ一方的に話し掛けてくる人』


そんな人と積極的に話をしたいと思うかな。しかも内容は、自分にとっては興味も持てないような話題ばかりだったりしたら。


そういう人ってどんな風に感じるかな?。好感を持てるかな?。


僕は持てないな。


だって、絵里奈や玲那と知り合った時だって、二人が一方的に話し掛けてくることに対して僕は不快さや苦痛しか感じてなかったからね。


沙奈子も、一方的にアプローチしてくる二人のことは、最初はそれこそ怖がってたし。


ただそれは絵里奈や玲那が不器用な所為で上手くできなかっただけで、特に沙奈子に対する気持ちについては本当に真剣だったのが分かってきたから徐々に印象が変わっていっただけなんだよ。そうじゃなきゃ、僕は今でも絵里奈や玲那のことが苦手だったと思うし、沙奈子が懐くこともなかったと思う。


そういうことがあったから、玲緒奈れおなに対してもただ一方的にこっちの都合ばかりを押し付けるんじゃなくて、彼女が何を望んでいるのか、どうしてほしいと思っているのか、そこを考えるようにしてるんだ。そしてそんな自分の振る舞いを手本として示していこうと思ってる。


玲緒奈はまだ本当に幼いから、相手の都合とか事情とか考えたりはなかなかできない。そんなのは当たり前だよね。生まれてすぐにそんな『気遣い』や『配慮』を身に付けていたら、玲那いわく、


「そんな赤ちゃん、それこそ『人生何周目!?』って話だと思う」


ってことだと僕も思うよ。周りの人間が実際に『気遣い』や『配慮』というものを振る舞いとして示していくからこそ、赤ん坊だってそれを少しずつ学んでいって、ある時、『ママ』とか『パパ』とか意味の通じる言葉を口にするようになるのと同じで、できるようになっていくんだと実感した。手本を示さずに勝手にできるようになってくれるのを期待するのはムシが良すぎるし、それこそ子供がすることだよね。大人がしてていいことだとは僕は思わないんだ。


もちろん、個々人の性格とか資質もあって、『上手く話し掛けられない人』とかはいるかもしれない。親だって誰でもが上手くできるわけじゃないのは確かだと思う。


でもね、そういう自分の都合や事情を相手に分かってもらいたいと考えるなら、自分がまず相手の都合や事情を考える必要があると思うんだ。それをせずに自分だけが配慮してもらえるのを期待するのは、大人のすることなのかな。



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