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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百九十四 沙奈子編 「子供と同じこと」

四月二十六日。水曜日。雨。




『先に子供が話し掛けても無視したり面倒くさがったり億劫そうにしたり不機嫌になったりしてきたんじゃないの?』


こう言うとまたいろいろ言い訳を並べるのかもしれないけど、


『大人は忙しいんだからいつもいつも子供の相手なんてしてられない』


とか言うかもしれないけど、子供の方だって、


『いつでも必ず相手をしてもらえるとは限らない』


くらいは理解できると思うんだけどな。山仁やまひとさんだって、


「ごめんね。今は仕事が忙しいから」


と応えて我慢してもらうことは何度もあったらしいし。だけどそれは本当に予定外の仕事が入ってきたりしてスケジュール的に厳しくなってる時くらいしか口にしなくて、普段はちゃんとイチコさんや大希ひろきくんの言葉に耳を傾けるようにしてたんだって。


だからイチコさんや大希くんの方も、


『今は話し掛けない方がいいんだ』


って思えるようになったって。『今は』ってね。今だけ我慢したらまたちゃんと話を聞いてもらえるのが分かるから、そう思えるようになったみたいだね。


玲緒奈れおなも、


「ごめんね。ちょっと待っててね」


って僕が応えると、


「む~……!」


と不機嫌そうになったりはするけど、確かに待っててくれるようになってきてるんだ。代わりに、そこまで忙しいわけじゃない時にはちゃんと話し掛けてきたらその言葉に耳を傾けるし、相手もするよ。それをずっと続けてきたから、手本を示してきたから、言葉を覚えるのと同じように身に付いてきたんじゃないかな。


『子供が口をきいてくれない』と言う人は、そうしてきたの?。


『自分は子供に対して積極的に話し掛けるようにしてきた!』


と言う人もいるかもしれないけど、それは、『子供が一方的に親に構ってもらおうとする』みたいに、相手の都合とかを考えずに、相手が話したい内容かどうかも考えずに、ただ一方的に話し掛けてきたんじゃないの?。子供が話したいと思ってることには耳を傾けずに。


もしそうなら、そんな人を相手に話し掛けたいと自分は思う?。


ましてや『大人』が子供と同じことをしてて、それで子供が何を学べると思うのかな。


『大人になっても子供と同じことをしていていい』


と学び取ってしまったりしないかな。


『相手の都合なんか考えずに自分の都合だけを優先する姿勢』


を学び取ってしまったりしないかな。


僕は自分が親になって沙奈子や玲緒奈と接してるうちに、その実感を痛いほど得たよ。僕は仮にも『大人と言われる年齢の人間』で、『親』なんだ。その自分が子供と同じことをしてて、それでどういう手本を示せるのかな。



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