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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百九十二 沙奈子編 「人材派遣会社」

四月二十四日。月曜日。曇り。




『口だけで言っても分からない』


これはいろんな場面でよく使われる言葉だと思うけど、だからこそ実際の振る舞いで実際の姿で具体的な手本として示す必要があると僕は思ってる。


特に親は子供に対してそれを示す義務があるんじゃないかな。


その点で言えば、『親が実際に仕事をしてる姿を子供に見せる』のは、すごく理に適ってることのような気がするんだ。


鷲崎わしざきさんは、結人ゆうとくんの前で仕事をしてるけど、


「まあ、仕事中のおデブは、すっげえ真剣な顔をしてるし、それはすげえと思うけどよ……」


結人くんはそんなことを言ったりもしてる。彼に対して口だけで言葉だけで仕事の大変さを説くんじゃなくて、実際の姿で見せてるんだ。だからこそ伝わることもあるってことなんだろうって気がする。


それこそ、子供と一緒に同じ仕事をしてみせるのもいいんじゃないかな。そうしたら、


『子供にはできないことを親はできてる』


のを示すのも難しくないだろうし。


「私の友人は、本業の他に人材派遣会社にも登録をしていて、週に一~二回、高校生の息子さんと一緒に同じ現場に入ったりすることもあるそうです。すると、息子さんにはできないことが彼にはできたりして、『親というのは、大人というのは、子供にはできないことができる』というのを実際に示すことができてる実感があると言ってましたね」


山仁やまひとさんもそんなことを言っていた。その山仁さんの友人という人は、息子さんには簡単に持てない荷物を軽々と持ち上げたりもするんだって。


しかも、本業とは別の派遣の仕事だけど、だからといって仕事そのものについてはいい加減にはせず、真摯に取り組む姿勢を見せてるとも。


だから、その友人の息子さんは、自分にはできないことを父親がやってみせることや、仕事そのものに対する考え方を実際の姿で示してもらえてるんだ。その上、同じ現場で働いてるから共通の話題もあって、会話も弾むって。


そういうことを当たり前にできる親も確かにいるんだよ。


でもその一方で、自分の子供と会話さえできないっていう親もいる。


それはなぜ?。その違いはどこからくるの?。


『できないのが普通』


って言うのなら、逆に、できる人はどうしてできるんだろう。


僕も、高校ニ年生になった沙奈子とでも、普通に話をするよ?。


大希ひろきくんも山仁さんと每日普通に話をしてるって。


結人ゆうとくんでさえ、鷲崎さんとちゃんと話はしてる。


ただ、千早ちはやちゃんは母親だけじゃなく、お姉さんたちとも話はしないって。



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