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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百九十 沙奈子編 「タスクをこなせて」

四月二十二日。土曜日。晴れ。




もし、人間が、ただ卑しいだけの生き物だったら、沙奈子も玲緒奈れおな絵里奈も玲那もそうだってことになってしまうよね。


千早ちはやちゃんも大希ひろきくんも結人ゆうとくんも一真かずまくんも琴美ことみちゃんも篠原さんも。


山仁やまひとさんも星谷ひかりたにさんもイチコさんも田上たのうえさんも波多野さんも。


さらには、鷲崎わしざきさんも、秋嶋あきしまさんたちも、木咲きざきさんも、香保理かほりさんも。


みんなみんな卑しいだけの生き物ってことになってしまう。


それは違うと思うんだ。


確かにみんな必ずしも完璧とは言えないとしても、卑しいだけの生き物なんかじゃない。香保理さんは故人だけど、絵里奈と玲那の大恩人で、僕にとっても大恩人なんだ。卑しいだけの人だったらそうはなってないはず。僕の実感としてはそうなんだよ。


狡いやり方をしなくても、みんなそれなりに穏やかに生きられてる。香保理さんも、危ういながら絵里奈や玲那と穏やかに暮らしてたって。


他の人が狡いやり方をして得をしても、それを羨ましいとは別に思わないし思わなかった。その必要がないから。他の人を羨む必要がないから。


自分の幸せを他の人と比べることでないと実感できない人には分からないかもだけど、僕たちは『自分はどうか?』で考えるからかな。自分が今、満足できてるか、納得できてるか、それが大事なんだ。


在宅で、玲緒奈の相手をしながら仕事をしてることも、僕にとっては楽しいし、満たされてる。


『普通の働き方じゃない』かもしれなくても、会社から要求されてるタスクはきちんとこなしてるし、別に怠けてるわけでもない。そして、しっかりと評価もされてる。信頼もされてる。在宅勤務についてあれこれ言われないのがその証拠の一つかな。


実はちゃんとタスクをこなせてない人がいて、


『このままだと在宅勤務を続けさせられない』


みたいなことを言われてるらしいんだ。


今の会社は、そういう部分では真面目な人がほとんどだと思ってたけど、やっぱりいるんだね、そんな感じの人は。


だけどそれについても、イチコさんも田上さんも在宅仕事をしてた時にも真面目に働いてくれてたそうだし、


『自分に割り振られた仕事をちゃんとこなさない。こなさずにいられる』


というのがなぜなのか、すごく気になるところなんだ。どうしてそうなってしまったのか。どうしてそんな自分でいられるのか。自分を改めようと思えないのか。思えないならそれはなぜなのか。


物事には必ず原因があってこそ結果があるんだ。だったら、そうなってしまった原因がどこかにあるはずなんだよ。それが気になる。



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