表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2483/2601

二千四百八十三 沙奈子編 「働くということ」

四月十五日。土曜日。雨。




そうなんだ。正社員もアルバイトも、


『労働を提供してその対価として賃金を得る労働者』


という意味ではまったく何も違わないはずなんだよ。確かに職場において正社員はより重要な仕事を任されてたりするかもしれないけど、波多野さんはその辺りも別に大きな違いはないらしい。むしろ波多野さんだからこそ任されてる仕事もあるんだって。


イチコさんと田上たのうえさんについても、実際にはフルタイムの勤務になるというだけの違いしかなくて、事実上のアルバイトだった仮採用の時と仕事の内容も別にそんなには変わらないそうだ。


これも、どちらも『労働を提供してその対価として賃金を得る労働者』であることは変わらないからこそのものだと思う。それぞれできること、『提供できる労働の内容』によって違ってくるだけなんだよね。


『重要な仕事を任されるかどうか』についても、波多野さんは、正社員ですら任されていない人もいる仕事を任されているんだよ。アルバイトなのにね。


それは、波多野さんにはできるけど、その正社員の人にはできないことだから。


そんな話だって普通にあるはずだけどな。


一方、『バイトテロ』みたいなことをする人は、自分が任されている仕事について、当人自身が、


『どうせアルバイトだから』


って考えてるんじゃないのかな。でも、


『働くというのはそうじゃない』


っていうことをどうして知らないんだろう?。


『働くということについては正社員もアルバイトも関係ない。どちらも本質的には同じもの』


ということを知らない人がいるのはなぜ?。


それがなぜかは、僕にもなんとなく分かるよ。だって僕も両親からはそれを教わってないから。だから僕も、そのことを実は割と最近まで分かってなかった。


僕にそれを教えてくれたのは、沙奈子であり、玲那であり、イチコさんであり、田上さんであり、波多野さんなんだよ。みんなが仕事している様子を見ていたからこそ、そういうことなんだって分かったんだ。それがなければ今でもきっと分かってなかったと思う。


だって他の誰も教えてはくれなかったから。教えてもらってもないことを気付けるほど僕は『大変な才能の持ち主』っていうわけじゃない。


その程度の人間なんだよ。


『立場が人を作る』


というのが本当なら、『軽く見られて見下されて蔑まれることもある立場』は、そういう人を作るんじゃないの?。もしそうじゃないのなら、『立場が人を作るなんて話は嘘だ』ってことになるんじゃないかな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ