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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百八十一 沙奈子編 「モチベーション高く」

四月十三日。木曜日。晴れ。




『自分は自分の力だけで生きられてるわけじゃない』


それを自覚すればこそ、他者への感謝の気持ちも持てるし、自分自身の振る舞いに対しても責任を自覚できるんじゃないかなと僕は思う。


だって、本当に自分の力だけで生きられてるなら、別に他の誰かに対して感謝する必要もなくなるよね?。何しろ自分が生きる上において他の人の力も存在も必要ないんだから。


僕はそんな傲慢な考え方はできないし、沙奈子や玲緒奈れおなにもそんな考え方をしてほしいとは思わないんだ。『するな』と強要はできないけど、してほしくないとは、親の正直な気持ちとして思ってる。


だったら、そういう部分についても親として手本を示さなきゃいけないと感じるんだよ。


世の中には、


『自分はどうせアルバイトだから適当にやってていい』


と考える人もいるらしいけど、どうしてそんな風に考えるだろうね。それは結局、『アルバイトなんてその程度のもの』という認識が蔓延してるからじゃないかな。アルバイトを軽んじる姿勢や風潮が、『どうせアルバイトだから』という意識を育ててるんじゃないかな。『実はそうじゃない』というのを具体的に示してくれる人が周りにいなかったら、『どうせアルバイトだから』という意識が生じないのさえ、当人の資質に依存することになるんじゃないかな。それは『手抜き』であり『甘え』だと僕は感じる。


「私はアルバイトだけど、正社員の人と扱いがそんなに違うって感じはしなかったですね。正社員だからって偉そうにしてアルバイトを見下してる人もそんなにいなかったです。まあ、中にはそんな感じの人もいないわけじゃなかったですけど、社長や専務はそうじゃありませんでした」


木曜日で仕事が休みなこともあって人生部の部室に顔を出してた波多野さんが、カメラ越しにそう言ってた。


もちろん、波多野さんが重用されてたのは彼女自身の普段の働きぶりが評価されてのことだとは思うけど、でもそこで『アルバイトなんて』っていう意識が店側にあったら、波多野さん自身がそこまでモチベーション高く頑張ることができたのかなって気がする。


フィクションでは、周囲から軽んじられてる主人公が逆に奮起して頑張ったりする展開があったりするかもしれないけど、実はそういうのは必ずしも当たり前にあることじゃないからこそ、盛り上がるんじゃないのかな?。『アルバイトなんて』と軽んじられることで当人の方も『どうせアルバイトだから』と思ってしまうことって実は多いんじゃないかな。


波多野さんを見てるとすごくそう感じるんだ。



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