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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百六十四 沙奈子編 「考えてそうな人」

三月二十七日。月曜日。晴れ。




今日ももちろん、沙奈子たちは『人生部』としてうちの一階の『部室』に集まってる。けれど篠原さんは、昼には習い事や塾のために出掛けていく。


「あ~あ、ホントにメンドクサイ……」


しみじみ口にする彼女を、


「なんか大変だな」


千早ちはやちゃんが労う。すると沙奈子も、


「お疲れ様」


と口にした。


さらに大希ひろきくん、結人ゆうとくん、一真かずまくんも、


「人生部に集中できればいいのにね」


「だよな」


「俺もそう思う」


だって。これには篠原さんも、


「ホントだよ。ここだったら頑張れるけど、水泳も塾もぜんぜんやる気になれないもん」


苦笑い。実際に、人生部として勉強とかしてる時の彼女は楽しそうで、成績も上がったそうだ。だけど篠原さんのご両親は、塾に通わせてるおかげだって思ってて、確かに人生部としてみんなと勉強してるから成績が上がったのか、塾のおかげで上がったのか、確かめようもないし、なんとも言いようがないのがもどかしい。なにより他所の家庭のやり方に僕が口出しすることはできないし。


僕が他所の家庭のやり方に口出しするとしたら、他所からもうちに対して口出ししてくることを認めなきゃおかしいからね。それは勘弁してほしいんだ。


それを沙奈子たちも承知してるから、篠原さんの家庭のやり方に対しては、篠原さんの前ではいろいろ言っても、直接は何かを言いに行ったりもしない。


そんなことをすれば藪蛇だって分かってくれてるんだよ。分かってるからネットでもそんなことしないんだ。『匿名だから向こうからは自分に対して口出しできない』と考えて一方的に口出しするなら、ただの卑怯だし。


なのに世の中には、


『自分は他所から口出しされたくないけど、ネットの匿名を通じてなら相手からは自分がどこの誰か分からないからいくらでも口出ししていい』


的に考えてそうな人って本当にたくさんいるよね。


それとか、芸能人やスポーツ選手や政治家といった有名人になら何を言ってもいいって考えてそうな人が。


僕は沙奈子がそんな風に考えていたら悲しいよ。相手が自分と同じ人間だってことを理解しようともしないってことだからね。『有名税』なんて詭弁で自分の行いを正当化しようとする人でいてもらっても嬉しくなんかないよ。有名でも有名でなくても、人間なんだ。『批判』があるのは仕方ないとは僕も思ってる。だけど『批判』なら言い方というものをちゃんと考えないとおかしいと、僕は親として沙奈子や玲緒奈れおなに分かっていってもらいたいと考えてる。



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