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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百五十七 沙奈子編 「成立しない」

三月二十日。月曜日。晴れ。




今日は、沙奈子たちが通う高校の修了式。明日からは春休み。そして春休み明けには二年生に進級する。




僕は別に、自分の意見がすべて受け入れられることを期待してるわけじゃないんだ。むしろ僕の意見がそのまま受け入れられたことなんて、たぶん、数えるほどしかないと思う。


確かに家族の中では僕の意見が受け入れられることは多いとしても、でもそれはあくまで、家族の中で意見がそれほど食い違ってなかったからだしね。そういう相手だから家族になれたというのが何より大きいと思う。


だけど、赤の他人はそうじゃない。僕とまったく同じ意見を持ってることなんてむしろ滅多にないはずだから、僕の意見がすべて受け入れられることなんてあると考える方がどうかしてるんじゃないかな。


なのに世の中には、自分達の意見がすべて受け入れてもらえないと『差別だ!』って騒ぐ人たちもいるよね。


千早ちはやちゃんも言ってた。


「なんか、『少数派の意見に耳を傾けろ!』とかデモやってる人らがいるみたいだけど、意見に耳を傾けても、それがまるっと通らないとまた文句言うんだろうなって気がするんだよね~。ああいう人らはさ」


って。それには僕も共感しかない。


『他人の意見に耳を傾ける』のと『相手の言いなりになる』のは違うんだってちゃんと分かってれば、自分の意見がすべて受け入れてもらえないからって『差別だ!』みたいなことは言わないんじゃないかな。


だって誰かの意見だけがすべて受け入れられるなんてことは、それが『少数派』とか『多数派』とかに拘わらず滅多にないからね。


でも同時に、そうやって『少数派の意見に耳を傾けろ!』とかデモをしてる人らに対して、


『少数派の意見なんか聞いてたら世の中が滅茶苦茶になる!』


みたいに言ってる人も実は、『他人の意見に耳を傾ける』のと『相手の言いなりになる』のは違うんだって分かってないんだろうな。それが分かってれば、何もそんな言い方をする必要もないし。『少数派の意見なんか聞いてたら』というのを、『少数派の言いなりになる』と考えてるからこそそう思うんだよね?。


でも実際には、『少数派の意見に耳を傾けたからってその内容のすべてを受け入れるわけじゃない』わけだから、それは『少数派の言いなりになってる』わけじゃないはずなんだ。


いくら、『多様性を受け入れる』と言ったって、


『多様性を受け入れろと言うのなら、『多様性を受け入れたくない』という多様性も受けれないとおかしい!』


みたいに言う人のことも認めないと確かに『多様性を認めてる』ことにはならないと思う。それは事実だと僕も思うんだ。


ただ同時に、『多様性を受け入れろと言うのなら、『多様性を受け入れたくない』という多様性も認めろ』という理屈は、多様性を認める前提でないと成立しないけどね。



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